4年前には能登半島の謎の地殻変動をGPS予測が察知 南海トラフで『ひずむ日本列島』活断層が集中する地域に大地震の足音迫る
令和6年初日に発生した石川・能登半島地震。元日の雰囲気を突如襲った最大震度7の揺れは、住み慣れた住宅や街並みを破壊し240人もの命を奪った。これまで「地震予知はできない」と言われながらも、新たな手法で地震の発生予測に果敢に取り組む学者がいる。 【写真を見る】『GPSの位置情報』活用した新たな手法で地震発生を予測 我々は、京都大学の西村卓也教授(当時は准教授)の研究の最前線を2022年に取材した。西村氏は当時、能登半島で3cmほどが隆起している、前例のない「謎の地殻変動」を観測していた。また「地震の巣」とされる活断層が集中している近畿地方には、南海トラフに押されて”ひずみ”がたまっているという。大地震の足音が迫っている。
2021年には『震度5クラスの地震』が相次いで発生
2021年12月3日の午前9時半ごろ、和歌山県北部を震源とするM5.4の地震が起きた。最大震度は5弱の強い揺れで、御坊市役所では窓ガラス37枚が割れるなどの被害が出た。 この約3時間前には、400kmほど離れた山梨県東部で最大震度5弱を観測する地震が起きていた。 これまで多くの地震の発生メカニズムなどを分析してきた「京都大学防災研究所」の西村卓也准教授(※以下、肩書は取材当時)は和歌山県北部で起きた地震について次のように話した。 (京都大学・防災研究所 西村卓也准教授) 「和歌山県のあたりは普段から非常に地震活動が活発なんですけれども、特に和歌山市付近が一番活発なんですが、そのあたりで起こっている地震とは若干タイプが異なります」
『GPSの位置情報』利用し地震発生を予測
西村卓也准教授は、新たな手法で地震の発生を予測する研究を進めている。 (京都大学・防災研究所 西村卓也准教授) 「GPSのデータを使って、地面が精密にどう動いているのかを調べます。それで地殻変動の様子がわかるのですが、地殻変動から地下で起こっている地震のメカニズムや、断層でどのように『ひずみ』がたまっているのかというようなことを調べています」 「GPS」はスマートフォンや車のナビゲーションなどにも利用されていて、人工衛星からの信号で位置情報が分かるシステムだ。西村准教授はミリ単位で正確に位置情報を調査できることに注目した。