井上尚弥が12・14両国で2年ぶりの国内防衛戦…相手はKO率79%の不気味な世界6位のタイ人ディパエン
試合会場は両国国技館が予定されている。御存知の通り大相撲の聖地だが、ボクシングでも数々の名勝負が生まれた場所。井上が両国国技館で試合をするのは2013年12月のOPBF東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦で、ヘルソン・マンシオ(フィリピン)を5回TKOで下して以来。このとき井上はまだプロ5戦目で、試合のメーンはWBC世界フライ級王者の八重樫東と同級1位のエドガル・ソーサ(メキシコ)との世界戦だった。 さて気になる対戦相手のディパエンは、1991年生まれの30歳だが、プロデビューは2019年2月で、キャリアはまだ3年と浅くIBF同級6位にランクされているボクサーだ。世界的知名度はないが、12勝(11KO)2敗で79%のKO率を誇る超好戦的なハードパンチャー。今年3月には、スックプラサード・ポンピタック(タイ)を棄権させてIBFパンパシフィック同級王座を獲得している。 2019年6月には来日しており後楽園ホールで、東日本新人王の荒川竜平(中野サイトウ)とノンタイトル6回戦で対戦。2回に強烈な右ストレートで2度ダウンを奪ってTKO勝利して鮮烈な印象を日本のリングに植え付けた。このとき、まだ5戦目。右構えのオーソドックススタイルだったが、冷静に距離をはかってボクシングができ、上体の柔らかさと、なにより、そのパンチ力が際立ち、荒川が打ち返してきてもひるまぬ強い闘争心が目についた。 キャリアの2敗は、グリーンボーイ時代の判定負けと、もう1敗は2019年9月にWBC世界スーパーフライ級のシルバー王座をかけて敵地の英国に乗り込みトミー・フランク(英国)に僅差判定負けしたもので、ここまでKO負けはない。またデビューした2019年にはほぼ月に一度のペースで年間11試合を消化したほどのタフさがある。 4団体のベルト統一を狙っているパウンド・フォー・パウンド3位の井上に無名のボクサーをマッチメイクしたIBFに対して一部の海外メディアは「IBFよ、恥を知れ」と厳しい意見を投げかけたが決して油断のできない相手。しかも、タイのボクサーには、過去何人もの日本のボクサーをキャンバスに葬った何をやってくるかわからない底知れぬ不気味さがある。