「なぜネリは井上ダウン後、もっと攻めなかった?」敗者ネリの誤算…長谷川穂積が実況席で見た井上尚弥の“壮絶TKO”「実力差がありました」
スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)がルイス・ネリ(メキシコ)に劇的な勝利を飾った6日の東京ドーム決戦。井上が初回にダウンし、6回TKO勝ちを収めるというスペクタクルな試合だった。この試合を実況席で見守った元3階級制覇王者の長谷川穂積さんはこの一戦をどう見たのか。長谷川さんが両者の思惑、そして井上の強さをひもとく。 【衝撃写真】「ネリの顔が大変なことに…」井上尚弥のエグい右でネリの顔面がゆがんだ決定的瞬間。「ネリがグシャリと崩れ落ちた」衝撃KOの連続写真も一気に見る(50枚超) ◆◆◆ 長谷川さんは実況席から試合の行方を見守った。試合開始のゴングが鳴ると、井上が強烈な右でネリに襲いかかる。長谷川さんは互いのコンディションの良さを見てとったが、同時に井上の“硬さ”も感じていた。 「入場してきたときの表情、テレビカメラに向かって手をクルクル回したりとか、始まる前にグローブをバンバン叩いたりとか、いままであまり見たことがなかった。いい意味で気合いが入っている、悪い意味で気負っていると感じました」
「あそこは、僕の常識だと左ボディなんです」
井上本人も「気負っていた」と認めている。スタートの強振は「ネリを勢いづかせたくなかった」と話しているから、これは作戦の一つということだろう。そして開始から1分40秒ほどのところで、衝撃のダウンシーンが訪れた。 これには長谷川さんも驚いた。 「やっぱりね、マイク・タイソンのことがあるので(1990年2月、ジェームス・ダグラスにまさかのKO負け)、東京ドームはなんか番狂わせが起きる場所なのかなと、頭をよぎりました。ビックリしたというか、僕は当事者じゃないのに焦りました(笑)」 両者が接近した局面だった。井上が左アッパーから右につなごうとした瞬間、ネリの左フックが炸裂したのだ。東京ドームが凍りついたこの場面。長谷川さんの解説が興味深い。 「あそこでネリが打つとすれば、僕の常識だと左ボディなんですよ。あの距離の近さだと左ボディが一番当てやすい。ボディが最短距離ですから。逆に上への左フックは打ちにくい。なのに左フックを打ってきたので、井上選手もまさかここで上を打ってくるとは思わなかったんじゃないかと思います。死角からで見えなかった。不意を突いた。そう言えると思います」 そしてダウンの後、井上の対処の仕方は試合の行方を左右する大きなポイントになった。結果的にネリにチャンスがあったのはこの場面だけだったからだ。 「ダウンすればちょっとは焦りますよね。とくにダウン慣れしていなければなおさらです。それなのに井上選手は冷静に、ダメージの回復に努めながら、それでいて防戦一方にならなかった。コーナーに詰まったらカウンターも合わせてました」
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