ADHDの子どもが起こしがちな、友達とのトラブルに親が入ってはいけない!? ペアレンティングの三大原則
かんしゃくがなかなかおさまらないときは…
望ましくない行動に対しては、「無視をする」というのがペアレンティングの考え方です。かんしゃくが続くと、親もイライラしがちですが、落ち着いて冷静に対処しましょう。 ADHDでは、思い通りにならないことがあると、急に怒り出して暴れたり、泣きわめいたりすることがよくあります。 「いい加減にしなさい!」と叱ってしまいがちですが、それでは子どもの興奮がヒートアップするだけ。親は冷静に「無視」をするのが適切な対応です。 周囲に迷惑がかかるようなら、別の場所でクールダウンさせます。声をかけたりせず、“かんしゃくを起こしても要求は通らない”ことを、子ども自身に気づかせるこ とが大事です。子どもがあきらめて静かになったら、すぐにほめてあげましょう。 ■感情が抑えられない特性を理解する ・怒りの感情をうまくコントロールできない特性がある ・自分の要求が通らないと感情が高ぶって泣きわめく ↓ GOOD)ペアレンティング ・まず親が冷静になる ・クールダウンするまで待つ ・おさまらないときはペナルティを与える NG) ・感情的に叱る ・根負けして要求に応じる ■気持ちをコントロールするためのペアレンティング かんしゃくを起こしたときは相手にせず、計画的に無視をします。自分で落ち着くことができたら、ほめてあげましょう。 ・子どもといっしょにルールを決めておく 「お店では泣いたり、怒ったりせずにお買い物しようね」「約束が守れなかったときにどうするか決めておこうね」など、ルールを決める
ペアレンティングの三大原則
ADHDの子どもの“つまずきに寄り添う子育て”がペアレンティングの基本です。「ペアレンティング」を成功させるためには、子どもの気持ちに目を向けることが大切。次の三大原則を常に意識して取り組みましょう。 (1)親の「こうあってほしい」をかなえることが目標ではない 「いい成績をとってほしい」「しっかり計画的に行動してほしい」など、子どもに対する親の希望をかなえることがペアレンティングの目標ではありません。まずは子どもの特性を受け入れること。特性を受け入れ、親子の信頼関係をしっかり築くことが大切です。 (2)「ほめる」と「ペナルティ」の間に「計画的な無視」を設ける 「物をなくす」「忘れ物をする」など、できないことに対してペナルティを与えてはいけません。この場合は、見守りながら淡々とスルーします。 「ほめる」と「ペナルティ」の間に、「計画的な無視=教育的スルー」という大きめの枠を設けるようにしましょう。それが親子の信頼関係につながるよい緩衝材となります。 (3)親が感情的になってはいけない 親が感情的に叱ると、つらい体験はさらに強く子どもの心に刻まれます。 怒りを感じたときは、ゆっくり深呼吸をして、呼吸だけに集中します。これは、心を穏やかに保つ「マインドフルネス」という方法です。湧き上がる感情にとらわれず、子どもと情緒的に良好な関係を築けるよう心掛けましょう。
榊原 洋一(お茶の水女子大学名誉教授)