「脳ドック」にかかる費用はご存じですか? 受けた方がいい人の特徴も医師が解説!
脳出血や脳梗塞、くも膜下出血などの「脳卒中」は、突然発症します。そして、一瞬にして命を奪ったり、言語障害や手足の麻痺などの重い後遺症が残ったりして、これまで普通に生活していた人のその後の人生を大きく変えてしまうことがあります。今回は、脳に特化した健康診断である「脳ドック」について「北村脳神経クリニック」の北村先生に解説していただきました。 【イラスト解説】「脳梗塞」を予防する可能性の高い“食べ物”
脳ドックとは? 普通の健康診断と何が違う?
編集部: まず、脳ドックについて教えてください。 北村先生: 脳ドックは、脳に特化した健康診断と考えていただければイメージしやすいと思います。脳の病気を早期に発見するだけでなく、今後、脳血管障害などを発症する危険因子があれば、発症リスクを減らすためのアドバイスをおこないます。脳ドックは、脳の健康を維持することを目的としています。 編集部: 職場の健康診断は毎年受けているのですが……。 北村先生: 一般の健康診断や人間ドックには、血圧や血液検査はあっても、脳の検査は含まれていません。そのため、普段から定期的に健康診断を受けて「異常なし」と言われていた人が、ある日突然脳の病気で倒れてしまうというケースも実際にあるのです。 編集部: どのような病気やリスクがわかるのですか? 北村先生: 検査項目にもよりますが、例えば脳腫瘍や一部の脳梗塞・脳出血などは、無症状で発症・進行していることもあり、脳ドックで初めて発見されることがあります。また、将来的な脳血管障害のリスクが高いと言われる脳動脈瘤や脳血管奇形などもわかります。 編集部: ほかにもありますか? 北村先生: 脳血管疾患との関連が深いとされている動脈硬化の進行状況や血管の閉塞・狭窄を確認することもできます。これにより、様々な脳疾患のリスクがわかります。また、認知症の早期発見にも有用です。
認知症の早期発見にも脳ドックは有用
編集部: 認知症の早期発見もできるのですか? 北村先生: はい。こちらも検査項目の種類によるのですが、脳ドックによって認知症の発見や予防につなげることも可能です。 編集部: もう少し詳しく教えてください。 北村先生: 認知症の原因で最も多いのは「アルツハイマー型認知症」ですが、これは脳が萎縮してしまうという特徴があります。脳ドックでは、MRIで脳萎縮の有無を確認し、認知機能検査や採血検査をおこなうことで、アルツハイマー型認知症発症のリスクや認知症の前段階である軽度認知障害の早期発見が期待できます。脳萎縮の程度に関しても、VSRAD(ブイエスラド)というプログラムを用いた解析や、近年ではAI画像解析を用いて記憶を司る海馬の体積を測定し、認知症を含めた将来の脳の老化を防ぐための指標、アドバイスを提供することができるようになってきています。 編集部: 脳ドックは認知症の早期発見にも有用なのですね。 北村先生: アルツハイマー型認知症だけではありません。アルツハイマー型認知症の次に多い「脳血管性認知症」の予防にも役立ちます。脳血管性認知症は脳血管障害に伴って発症することが非常に多いので、脳血管障害を予防することが、脳血管性認知症の予防につながるのです。脳ドックを受けてご自身の危険因子を知り、早期に適切に対応することで、脳血管性認知症の発症を防ぐことにもなります。