副交感神経から整える。生き急がず、ゆるく暮らすアイデア集(専門家が監修)
火をボーッと見つめる
炎のゆらぎを眺める行為にはリラックス効果があるとされている。また、蛍光灯やスマホのブルーライトは交感神経を優位にするが、キャンドルの灯りは副交感神経を優位にする。自然の中での焚き火は自律神経の調整に効果的といえる。
プチ・リトリート
リトリートとは、日常生活から離れてリフレッシュすることを目的とした時間の過ごし方のこと。避難所や隠れ家を意味するリトリートメントがその語源。少しの時間(プチ)でもいいので、喧騒から離れ、自然が豊かな場所でのんびりと過ごすことで副交感神経にスイッチが入り、自律神経が整うことに繫がる。
食事はいつもの倍の時間をかける
咀嚼を意識してゆっくりと食事をすると、副交感神経が優位になるだけでなく、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌も高める。しっかりと嚙んで食べれば胃腸への負担は軽減されるし、咀嚼には頭部への血流促進効果もある。忙しい人こそ、十分な食事時間を確保したい。
太極拳を取り入れる
運動中は心拍数が上がり交感神経が優位になるもの。しかし、スローな動きでカラダを緊張させずに行う太極拳は、交感神経を優位にすることなく行えるだけでなく、呼吸数が減少し、副交感神経が優位になる稀有な運動。
好きな香水をつける
ストレスを抑制する方法の一つとしてアロマテラピーが存在するように、香りがヒトに与える影響は大きい。好きな香りを嗅いでリラックスしたり、リフレッシュした経験は誰にでもあるはず。好みの香りを身にまとうことは、副交感神経を優位にすることに繫がるのだ。
水族館でクラゲを見る
近年、水族館の目玉的存在にもなっているクラゲ。その人気の理由は、クラゲが持つ癒やし効果にあるといわれている。水中を漂うクラゲをぼーっと眺めるのは、焚き火やニクセンと同様、副交感神経を優位にする働きがあるようで、クラゲの映像を鑑賞するとストレス値が下がるという研究報告もある。
マンダラ塗り絵をする
マンダラ(曼荼羅)とは仏の眼から見た世界の構造を表す図柄。密教で悟りを開くために生まれ、僧侶たちは修行として曼荼羅を描いていた。そして精神科医で心理学者のカール・ユングは、患者の治療にマンダラを活用していたといわれている。塗り絵には自律神経を整える効果があるとされているので、マンダラ塗り絵ならより効果が期待できそうだ。
“涙活”にチャレンジしてみる
涙活とは涙活事務局代表の寺井宏樹氏が考案・提唱している、能動的に涙を流すことによる心のデトックス法。映画鑑賞や読書などを通じて感動して涙を流すと、副交感神経にスイッチが入り、ストレスが解消し、心の乱れもおさまるという。「最近泣いた記憶がない」という人こそ、涙活に挑戦してみてほしい。
取材・文/神津文人 編集/堀越和幸(初出『Tarzan』No.858・2023年6月8日発売)