「ポストSDGs」の観光まちづくりはニセコ町に学べ
■持続可能な観光とインバウンド
ニセコ町は観光と地域社会の共生を図るため、持続可能な観光に向けたインバウンド戦略を展開している。観光客と地域住民が共に持続可能な未来を創造するための活動を促進しており、地元の文化や自然環境を尊重した観光プログラムを提供している。 具体的には、エコツーリズムや自然体験プログラムの充実を通じて、観光客に対する環境意識の啓発活動を行っている。 ニセコ町は、グラスゴー宣言やベストツーリズムビレッジ、グリーンデスティネーションズのトップ100選など、持続可能な観光に関する国際的な認証や選定を受けている。これにより、持続可能な観光地としての信頼性と魅力を高め、国際的な観光客も引き寄せている。 観光インフラの整備も進めており、環境負荷を最小限に抑えた宿泊施設や交通インフラの整備を行っている。公共交通機関の利用促進や自転車インフラの整備を進め、低炭素社会の実現を目指している。 パウダースノーや羊蹄山(蝦夷(エゾ)富士と呼ばれる)のような自然資源を徹底的に生かし、観光客の満足度を高め、地域の魅力を内外に発信している。 地域内経済循環の強化や環境保全の取り組みは、観光客にもプラスの影響を与える。観光客が地域の自然や文化を尊重することを通じて、地域社会と観光の共生が実現する。また、持続可能な観光インフラの整備は、観光客だけでなく地域住民の生活の質も向上させることができる。 住民側の取り組みと持続可能な観光のインバウンド戦略の組み合わせでシナジーを生み出し、地域全体の持続可能性を高めることを目指す。新たな住宅地の開発は、地域住民の生活環境を改善し、産業を支える基盤を強化するだけでなく、持続可能な観光の受け入れ体制を強化する役割を果たしている。
■町役場の開かれた雰囲気と担当者の熱意
持続可能なまちづくりと観光の推進には、町役場のスタッフのモチベーションの高さが重要である。彼らは、地域の資源に誇りを持って、住民や関係者を巻き込んで総合的にアプローチしている。 町役場は片山健也町長の下で、開かれた雰囲気を醸し出し、観光客や住民に対して親しみやすい環境を提供している。観光客が安心して訪れることができ、地域社会との交流も深まるという点で非常に重要である。 実際に筆者も町役場にアポイントなしで訪問したが、対応いただいた町役場の企画環境課 環境モデル都市推進係・永澤香さんからは、ニセコミライなどの説明をしていただいたが、丁寧な対応で親しみやすさを感じさせた。永澤さんは今後のニセコ町の持続可能な発展に寄与していきたいと熱く語っていた。