「ポストSDGs」の観光まちづくりはニセコ町に学べ
■町のパーパス形成に役立つ有島武郎の思想
ニセコ町の開かれた雰囲気と町役場職員の熱意の源泉を考える上で、有島武郎の存在が大きいことが現地に行ってみて分かった。有島記念館では、有島武郎の持続可能なまちづくりの先駆的な取り組みが展示されており、その根幹には「相互扶助」の精神がある。有島は個人の利益を追求するだけでなく、地域全体に利益をもたらすという理念を実践し、これがニセコ町の基本的なパーパス形成に大きく役立っている。 有島武郎の遺訓である「相互扶助」の精神は、現在のニセコ町のまちづくりの重要なキーワードとなっている。この精神は、住民同士の協力や支え合いを促進し、持続可能な地域社会の実現に寄与している。こうした歴史的背景と地域の総合力が、ニセコ町の強みと特性を形成している。
■ポストSDGsに必須のパーパスと熱意
このように、ニセコ町は持続可能なまちづくりと観光の両面作戦を展開し、地域全体の持続可能性を高めることを目指している。有島武郎の思想や遺訓を受け継ぎ、地域の資源を最大限に活かしながら、住民や関係者を巻き込んで総合的にアプローチすることで、ポストSDGs時代に求められる持続可能な地域社会のモデルケースとなっている。 自然、歴史などの地域の資源を掘り起こし、関係者の理解と協力のもとでそれを有機的に結びつけることで、イノベーションが生まれ、持続可能なまちづくりが実現する。 永澤さんの話を聞きつつ、地域資源を活かすには、地域活性化を推進する人々の力が不可欠であると改めて実感した。ニセコ町の取り組みは、人々の力を最大限に活用することの重要性を再確認させるものであり、ポストSDGsに向けたヒントが満載だ。