【大学トレンド】「海外インターン」大学がサポート 仕事環境の確認、費用負担…
大学生の海外体験といえば、これまでは語学留学や交換留学が一般的でした。そこに新たな選択肢として加わったのが、海外での就労を体験する「海外インターンシップ」です。現地の安全性を大学が確認し、奨学金を出す制度もあります。言葉や文化の異なる国で働くという挑戦は、学生をどのように成長させるのでしょうか。 【写真】フィリピンの自動車部品メーカーに派遣された学生と現地企業のスタッフ
期間限定で企業での仕事を体験できるインターンシップは、学生が自分の学びと実社会との接点を考える貴重な機会です。2023年度からは一定の要件のもと、インターンシップで得た学生の情報を採用に利用することが認められたことで、学生や企業のインターンシップへの関心はさらに高まっています。マイナビが行った調査では、25年3月に大学を卒業予定の大学生と大学院生の89.5%がインターンシップや仕事体験に参加したことがあると回答しています。 グローバル人材の育成を目指し、海外の企業・団体に学生を派遣する「海外インターンシップ」を行う大学もあります。東京都市大学もその一つ。学生支援部の住田曉弘部長は次のように話します。 「本学の海外インターンシップは、派遣先企業の一員としてしっかり仕事に従事してもらうプログラムです。学生は慣れない海外での生活のなか、現場から厳しいフィードバックをもらったり、与えられた課題への対応に苦労したり、かなりハードな日々を過ごしますが、その分、帰国時は見違えるほどの成長を見せてくれます。大学で学んだことを海外の現場で生かす経験は、学生に自信を与え、知識やスキルをもっと身につけたいという学習意欲を生み出します。派遣先への就職など、採用活動に直結させるプログラムとしてつくってはいませんが、ここでの経験を就職面接で話せば、どこの担当者も興味を持つはずです」
費用の半分相当の奨学金を支給
東京都市大学は2011年から海外インターンシップを実施し、これまでに300人以上の学生を海外の企業・機関に派遣してきました。プログラムの募集対象は全学生で、例年、定員の約2倍の応募があるといいます。費用(渡航費・宿泊費・海外旅行保険料)の半額は、大学を運営する五島育英会から奨学金として支給され、23年の学生の自己負担額は、4週間で1人あたり平均20万円程度でした。 派遣先で多いのは、フィリピン、タイ、インドネシアなど東南アジアと、アメリカ、オーストラリアです。派遣先企業や滞在先探しは仲介業者を通さず、学内の教員と職員で構成される「海外インターンシップ専門委員会」が行います。コロナ禍を経て22年度からプログラムが本格的に再開され、23年度には海外の10企業・団体に学生36人が派遣されました。