SBI、ステーブルコイン「USDC」のサービスを1~3月に開始へ──ビットコインETFの組み入れファンドも検討【2025年始特集】
「ゴールド」と「デジタルゴールド」ETFを組み入れたファンド
そこでSBIが検討しているのは、米国に上場されているビットコインETFと、インフレヘッジとして注目され続けてきたゴールド(金)に紐づくETFの双方を組み入れたファンドの組成だ。 SBIホールディングスの取締役副社長で、SBIグローバルアセットマネジメントの社長を務める朝倉 智也氏が取材で構想を明かした。 伝統的資産クラスのゴールドと、「デジタルゴールド」と呼ばれるビットコインに紐づく、それぞれのETF(証券)に投資する投資信託を作ることは可能ではないか。 「設定が可能かどうかわからないが、もし当局が承認して頂けるなら、是非とも前に進めていきたい」と朝倉氏は言う。 朝倉氏は、「暗号資産は非中央集権的な商品であり、米ドルを筆頭に通貨は中央集権的なもの。日本や米国などの国家は債券を発行してバブルを作ってきた。同時に債務は増え続けた。長い目で見たら、法定通貨の信用が失墜する可能性はゼロではない」と述べた上で、「非中央集権的なテクノロジーから生まれた暗号資産と、中央集権的で伝統的なアセットクラスを併せることは、アセットアロケーション(資産分配)の観点からすると理にかなっている」と説明する。 SBIアセットマネジメントはこれまでにも、ブラックロックやバンガード、チャールズ・シュワブなどの米資産運用会社が運営するETFを組み入れた投資信託を販売してきた。また、過去6年間、同社は暗号資産を組み入れたファンドの組成に対しても、国内の資産運用会社の中では積極的に探求してきた。 当然、日本の産業が競争力を強めながら成長していくために、ビットコインが投信法の中で特定資産に含まれるようになり、日本の資産運用会社がビットコインETFを作り、国内の証券市場を通じて販売できるようになることが理想的だと、朝倉氏は話す。 加えて、議論が再燃している暗号資産の税制も、日本でビットコインETFが生まれない要因の1つだ。 日本の法律では暗号資産取引で得られる所得は雑所得となり、税率は最大で55%の総合課税。一方、ETFを含む従来の金融資産の売買から得られるリターンは分離課税となり、一律20%だ。 現行の税制でビットコインETFが生まれると、ビットコイン現物の取引サービスと、ビットコインETFが競い合うかたちとなり、一定数の投資家は税率の低いETFに流れる可能性があると、一部の暗号資産交換業界・関係者は指摘している。 しかし、24年12月、自民党・デジタル社会推進本部の塩崎彰久議員は、与党の政調審議会で、「暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言」が承認されたことを報告した。その中で、暗号資産の取引により生じた損益に対して、20%の税率による申告分離課税の対象とする検討を行うべきと提言した。 「『国民経済に資する資産』という言葉が使われたことは、これまでになく意味が強い。米国のようなスピード感とまではいかないが、日本の当局も今まで以上に(暗号資産に)注目しており、スピードも上がっているように思える」と近藤氏は述べる。