SBI、ステーブルコイン「USDC」のサービスを1~3月に開始へ──ビットコインETFの組み入れファンドも検討【2025年始特集】
「ダブル・リザーブ」、海外ステーブルコインの課題
海外の暗号資産ウォレットから受け取ったUSDCを、その個人が持つSBI VCトレードの口座に送ることは可能となるが、その際、SBI VCトレードは同量の米ドルをリザーブする必要がある。 個人がSBI VCトレードの口座にあるUSDCを円転(日本円に換金)した場合、同社はその分の米ドルをリザーブする必要はなくなるが、仮に個人がUSDCをしばらくの間口座に保管するとなると、同社は同量の法定通貨をリザーブする。 海外のステーブルコインを日本で流通する上でのビジネス上の課題の1つと言える。 サークルは米国でUSDCの裏付け資産である米ドルや、短期国債などをリザーブしているが、SBI VCトレードもまた、日本で扱うUSDCの同量の米ドルをリザーブする。近藤氏は、いわば「ダブル・リザーブ」の課題を指摘する。 「当面はダブル・リザーブを維持する方法で進めるが、解消しなければビジネスとしてはスケールしていかない。解決する術はいくつか考えている」(近藤氏) また、電取業者が海外のステーブルコインの仲介をする場合、送金の上限額は100万円と定められている。
暗号資産ファンドで出遅れた日本、模索し続けるSBIアセット
ステーブルコインの流通量が増加した一方で、24年は米国の資産運用会社が暗号資産市場での存在感を強めた1年となった。 ブラックロックやフィデリティ、フランクリン・テンプルトンを筆頭に、米国の大手アセットマネジメントがこぞってビットコインの現物に紐づく上場投資信託(ETF)を作り、昨年1月に米国の証券市場に初めて上場させた。 これまで一部の愛好家で作られてきた暗号資産市場に、巨大な国際金融資本がファンドを通じて参入したことで、暗号資産に目もくれなかった機関投資家や個人投資家がビットコインETFを買い求めるようになった。 米国で上場されているビットコインETFの運用残高の合計は12月25日時点で、1100億ドル(約17兆円)。 日本では、米国に上場されているビットコインETFを、国内のネット証券を通じて購入することはできない。国内の資産運用会社は日本版・ビットコインETFの組成と上場を模索してきたが、「投信法(投資信託及び投資法人に関する法律)」と呼ばれる現行の法律の下では、実現は難しい。 投信法では、組成する投資信託(ファンド)の資金を投資できる資産が特定されているが、ビットコインなどの暗号資産は「特定資産」に含まれていないからだ。 関連記事:ビットコイン規制はどう変わるーー動き出した金融庁、ザワつく金融界と暗号資産業界