元巨人ドラフト1位、39歳で高校教師、監督9年目で甲子園出場 東海大相模・原俊介監督が振り返る波乱の野球人生
【学校生活が野球のプレーに反映される】 ── 2016年から2021年までの東海大静岡翔洋高時代、特に2021年は決勝で静岡高に惜敗。その後、2021年秋に東海大相模高の監督に就任。そして2024年夏に自身9年目の夏に甲子園に出場し、ベスト8に進出しました。 原 29歳までプロ野球の世界に身を置き、その後、10年間は別のことをやって、39歳で教員になりました。静岡翔洋時代は、野球部の監督はもとより、高校生に教えること自体が初めてだったので、試行錯誤の連続でした。 ── 39歳にして、教壇という名の"打席"に立ったのですね。 原 静岡翔洋の校長先生に「野球部が強い、弱いではなく、文武両道の学校生活をしっかり送れるよう、生活面から指導してほしい」と、最初にお話をいただきました。だから3年ぐらいは、野球のことよりも生活面のことを言うほうが多かったですね。 ── 原先生は「学校生活を頑張れる生徒は、部活動も頑張れる」と、かねてから言っていました。 原 学業、時間厳守、協調性。たとえばスリッパを脱ぐ時、自分のものだけでなく他人のものも揃える生徒がいます。逆に自分勝手な子は、周りが見えていないというか見ようとしていない。そうしたふだんの生活態度や行ないというのは、野球のプレーにも出てしまうんです。だから野球だけを教えるのではなく、人間教育あってこその指導なんだと思っています。 【伝統校を率いるプレッシャー】 ── 今夏の神奈川大会決勝の横浜高戦、木村海達主将に「ジャンケンに勝って、後攻をとってくれ」と言ったのは、投手の立ち上がりを含めた守りに自信あったという理解でよろしいでしょうか。 原 野球というスポーツは「先手必勝」で、先攻で得点できれば優位に試合を進めることができますが、無得点に抑えられると厳しくなる。それに同点や1点差、2点差リードくらいだと、9回裏の守りがかなりきつくなる。特に高校野球のような一発勝負は、投手がメンタル的に崩れることも多くなってくるので、監督としては後攻のほうが好きなんです。