健康診断の後、早めに受診した人ほど入院・死亡が少ない
健康診断で異常値を指摘された後、医療機関を早めに受診した人ほど、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)による入院や死亡のリスクが低いことが、約41万人の日本人のデータを解析した研究(*1)で明らかになりました。 ●健診から受診までの期間は予後に関係する? 前年までの健康診断ではずっと正常だった検査値が、初めて基準値から外れたという場合に、あなたならすぐに医療機関を受診するでしょうか。「来年も異常値だったら受診すればいいや」と考えて、漫然と過ごしてしまう人もいるかもしれません。 健康診断の目的は、病気を発症するリスクの高い人を見つけ出し、発症予防の機会あるいは治療の機会を提供することにあります。したがって、健診後の受診が遅れれば、利益は小さくなると考えられます。そこで大阪大学の董加毅氏らは、心血管疾患のリスクと関係する検査値が異常値を示していた人々を対象に、健診から受診までの期間と、心血管疾患による入院および死亡のリスクの関係を検討することにしました。 分析に用いたのは、日本在住の約4000万人の保険診療の記録や健康診断結果を登録している全国健康保険協会のデータベースです。2015年4月1日から2021年3月31日までに登録された35~74歳の人たちの中から、健康診断において、心血管疾患のリスクが高いと見なされる以下のような異常値を示していた人たちを抽出しました。 ・収縮期血圧(最高血圧)が160mmHg以上または拡張期血圧(最低血圧)が100mmHg以上 ・空腹時血糖が130mg/dL以上またはHbA1c(直近1~3カ月間の血糖値を反映する指標)が7.0%以上 ・LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が180mg/dL以上(日本人女性についてはLDLコレステロール高値と心血管疾患との関係が示されていないため、男性のみ) ・尿たんぱく陽性(2+以上) ※上記のいずれか1つ以上に該当した人を抽出 既に心臓の病気や脳卒中、腎臓病にかかったことのある人や、高血圧、脂質異常症、糖尿病に対する治療薬を使用している人、また、検診前に自主的に医療機関を受診し、血圧、血中脂質量、血糖値、尿たんぱくなどの検査を受けていた人は除外しました。