子育て世帯の65%が「生活が苦しい」と回答…【貯蓄額】30歳代・40歳代・50歳代「貯蓄ゼロ」は何パーセント?
子育てにはお金がかかるといわれることがありますが、厚生労働省の調べによると、子育て世帯の6割以上が生活が苦しいと感じているようです。 ◆【円グラフ】子育て世代《30歳代・40歳代・50歳代》貯蓄額の分布 子どもの進学に必要な資金の準備や、塾や習い事の費用など、なにかと出費がかかるご家庭も多いことでしょう。 住宅を取得した世帯では、住宅ローンの返済も大きな出費のひとつとなります。 子育て世代である30歳代・40歳代・50歳代は、子育てにお金がかかりつつも、貯蓄はどのくらいあるのでしょうか? 貯蓄なしという世帯もあるのでしょうか? 本記事では、子育て世代の貯蓄事情について解説していきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
子育て世帯の6割超は「生活が苦しい」
厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、子育て世帯の65%が「生活が苦しい」と感じていることがわかりました。細かく見ると、次のような割合となっています。 ・大変苦しい:28.5% ・やや苦しい:36.5% ・普通:31.5% ・ややゆとりがある:3.1% ・大変ゆとりがある:0.4% 「大変苦しい」と「やや苦しい」と感じている世帯が65.0%を占めており、「普通」と感じる世帯が31.5%、ゆとりがあると感じている世帯はわずか3.5%という結果です。 しかし、同調査によると、子育て世帯の平均所得は812万6000円とされており、全世帯平均の524万2000円と比べて290万円ほど高額になっています。 所得が多くても、子どもの教育費や住宅ローンの返済など、出費が多い世帯が多いと考えられます。 では、子育て世帯ではどのくらい貯蓄があるのでしょうか? 貯蓄ゼロの世帯もあるのでしょうか? 次章で詳しく確認していきましょう。
30歳代・40歳代・50歳代の貯蓄状況
子育て世代である30歳代・40歳代・50歳代の貯蓄状況について、金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」をもとに見ていきます。 なお、データには「平均値」と「中央値」が掲載されています。 中央値とは、データの値を小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中に来る値のことです。 平均値は、極端に小さい、または大きい値の影響を受けやすく、実際の平均からはかけ離れてしまうことがあるため、平均を知る際には中央値の方が適しているとされています。 ●30歳代世帯で貯蓄ゼロは28.4% 30歳代世帯の平均貯蓄額は601万円で、中央値は150万円です。貯蓄ゼロの世帯は28.4%となっており、約3.5世帯に1世帯が貯蓄がないという状況になっています。 貯蓄額ごとの世帯割合は以下の通りです。 ・金融資産なし:28.4% ・100万円未満:12.3% ・100~200万円未満:9.9% ・200~300万円未満:7.6% ・300~400万円未満:5.6% ・400~500万円未満:4.5% ・500~700万円未満:6.6% ・700~1000万円未満:5.2% ・1000~1500万円未満:6.3% ・1500~2000万円未満:2.2% ・2000~3000万円未満:2.6% ・3000万円以上:4.0% 最も多いのが「金融資産なし」で28.4%で、次いで「100万円未満」の世帯が12.3%、「100~200万円未満」の世帯が9.9%となっています。30歳代世帯では、貯蓄まで余裕がない世帯が多いことがわかります。 ●40歳代世帯で貯蓄ゼロは26.8% 40歳代世帯の平均貯蓄額は889万円で、中央値は220万円です。貯蓄ゼロの世帯は26.8%となっており、30歳代世帯より若干減少しています。貯蓄を始めた世帯が増えつつあると考えられます。 貯蓄額ごとの世帯割合は以下の通りです。 ・金融資産なし:26.8% ・100万円未満:9.6% ・100~200万円未満:8.9% ・200~300万円未満:4.9% ・300~400万円未満:5.7% ・400~500万円未満:3.8% ・500~700万円未満:7.4% ・700~1000万円未満:5.6% ・1000~1500万円未満:7.4% ・1500~2000万円未満:3.5% ・2000~3000万円未満:5.3% ・3000万円以上:6.5% 依然として金融資産なしの世帯が最も多く26.8%を占めており、200万円未満の世帯も多いです。 しかし、「1000~1500万円」の世帯が7.4%、「3000万円以上」の世帯が6.5%というように、高額な貯蓄ができている世帯も増えています。 ただし、このデータはあくまでも年代別のものであり、子どもがいる世帯もあればいない世帯も含まれています。そのため、貯蓄額の多い世帯は、子どものいない世帯である可能性があることに留意しましょう。 ●50歳代世帯で貯蓄ゼロは27.4% 50歳代世帯の平均貯蓄額は1147万円で、中央値は300万円です。平均貯蓄額が初めて1000万円を超えましたが、実際の平均に近いとされる中央値は300万円であることから、平均的な貯蓄額は300万円程といえるでしょう。 貯蓄ゼロの世帯は27.4%となっており、40歳代よりも若干増加しています。 貯蓄額ごとの世帯割合は以下の通りです。 ・金融資産なし:27.4% ・100万円未満:9.1% ・100~200万円未満:6.4% ・200~300万円未満:3.8% ・300~400万円未満:3.9% ・400~500万円未満:3.8% ・500~700万円未満:5.6% ・700~1000万円未満:5.5% ・1000~1500万円未満:8.9% ・1500~2000万円未満:4.2% ・2000~3000万円未満:5.4% ・3000万円以上:11.2% 最も多いのは金融資産なしの世帯で27.4%ですが、2番目に多いのが「3000万円以上」で11.2%となっています。 貯蓄なしの世帯が多い一方で、10世帯に1世帯は3000万円以上の貯蓄を有しており、世帯間の差が大きくなっていることがわかります。