職場の「トイレ掃除」は20代だけでやっています。「若手がやるもの」という暗黙の了解があるのですが、不公平ではないでしょうか?
日本の職場には、ルールとして「暗黙の了解」が存在している場合があります。このような「暗黙の了解」は面接時に説明されないこともあります。では、納得がいかない場合、従わなくてもよいものでしょうか。 本記事では、職場の「トイレ掃除」は20代だけという「暗黙の了解」がある職場を例に挙げて、従うべきかどうかを解説していきましょう。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
トイレ掃除を拒否してもよいのか?
使用者は労働者に対して、業務上の指示や命令を出すことが可能です。その代わりに、労働者は使用者から賃金を受け取ります。こうした関係が成り立つのは、使用者と労働者の間で労働契約が結ばれているからです。 しかし、使用者は労働者に対して、何でも命令できるのかというと、それは違います。労働契約で合意していない業務内容については、基本的に労働者は従う必要はないのです。 そのため、トイレ掃除を断ってもいいかどうかの判断は、労働契約に沿って行うことになります。これまで暗黙の了解で続いてきた会社の慣習であるかどうかは関係ありません。 もし、トイレ掃除が労働契約で合意した範囲外であれば、断っても問題ありません。しかし、トイレ掃除が労働契約で合意した範囲内であれば、話は別です。ただ単に「トイレ掃除が嫌だ」という理由で拒否してしまうと、減給・出勤停止・解雇などの処分を受ける可能性があるのです。拒否するには、正当な理由が必要になります。 また、トイレ掃除がハラスメントに該当する可能性もあります。例えば、女性に男子トイレの掃除をさせる行為は「セクシュアルハラスメント」、女性のみにトイレ掃除をさせる行為は「ジェンダーハラスメント」にあたる可能性があるのです。 使用者は職場におけるセクシュアルハラスメント対策を行う義務があります。さらに、今回、例に挙げた「20代のみ」というように特定の人にトイレ掃除をさせる行為は不公平で、「パワーハラスメント」と捉えられる可能性もあるでしょう。 このような場合は、職場の労働組合に相談することをおすすめします。それでも解決しない場合、職場のセクシュアルハラスメントは「都道府県労働局雇用環境・均等部(室)」、パワーハラスメントは「みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)」などで相談することができます。