ビジネスをグッと動かすのは、トレンドより基本。ファミリーマートが変えたこと、変えなかったこと
マーケティングは商売である
足立氏がファミリーマートで実践するマーケティングは、「WHO・WHAT・HOW」の3つに集約される。 【ファミリーマートで実践しているマーケティング】 どんなお客様に対して(WHO):ターゲット顧客の再確認 何を伝えるのか(WHAT): ポジショニング再定義、施策・来店目的の多様化 どう伝えるのか(HOW):再現性を確保しながら話題化し、露出量を最大化 次々と施策を繰り出しているため、特別な手法を用いているような印象を受けるが、コミュニケーションの基本である「WHO・WHAT・HOW」を粛々とやっているに過ぎないというのだ。「新しいコンセプトや最新のトレンドを知っておくことはもちろん大事だが、突き詰めると基本のWHO・WHAT・HOWになる。本当にビジネスをグッと動かせるのは、やはり基本」。 加えて、これも基本のことながら、商品開発にしろ、SNS投稿にしろ、大事なのは「顧客視点」であることも強調した。もともと内向きでトップダウンだったファミリーマートが、マーケティング部だけではなく他部署も含めて、「顧客視点で商品・施策の意思決定をするようになってきた」と足立氏は振り返る。商品や施策を決めるのは本来商品部の仕事であったが、マーケティング部が商品部の領域にも携わる理由は、マーケティングがカバーする分野はプロモーションやコミュニケーションだけでなく、下記の4Pすべてだと考えているからだ。 マーケティングがカバーする4つの領域 商品部と折衝して商品・施策のコンセプトや意思決定の方法を変更してもらう、営業部と話し合って店頭展開を最適化する、といったことは、一般的には「マーケティング部」の業務範囲に入らないことが多い。しかし、「Promotion(広告・コミュニケーション)だけを変えるより、全体を変えたほうが間違いなく効果的」と語る足立氏は、「マーケティングは商売」だと考えている。それは「経営視点」の戦略を実行していることにほかならない。 足立氏はファミリーマートでの3年半を「結局、ファミリーマートがやっていることは基本であり、いかに顧客視点に立てるかということだ。それを4P全体で考え、実行し、改善し続けることを心がけてきた」と振り返った。 Written by 山本千尋 Photo by 三浦晃一
編集部