ビジネスをグッと動かすのは、トレンドより基本。ファミリーマートが変えたこと、変えなかったこと
マーケティング部を含めた「営商マ」コンセプトに
こうして顧客視点の施策を続けながら、足立氏は社内の体制を変更することも試みた。もともと日本の流通業は、商品部が商品を作って営業部が店頭の棚に並べるという体制が主流だったが、同社はそこにマーケティング部を加え、3つの部が力を合わせる「営商マ」体制を推進した。 いくら良い商品を作って並べても、それだけでは店に来る人にしか届かない。ファミリーマートに来店しない多くのお客様にも、ファミリーマートで面白いことをやっていると知ってもらう必要がある。「店頭で展開するオウンドメディアは店舗に来る人にしか響かないが、SNSやパブリシティなどのアーンドメディアをうまく活用すれば、来店していただいていないお客様にもニュースを届けることができる。アーンド活用のポイントは、再現性のある手法で話題化することだ」。 「カレー祭り」を例にとると、看板をカレー色に変えた3店舗の写真と緯度経度だけを示した投稿で、「ファミマが黄色になった!」「なんだ、この投稿??」と話題化させることができた。そのほかの投稿でも、X(Twitter)で何度も「日本のトレンド」入りを連発している。こうした仕掛けは、マーケティング部内やエージェンシーとディスカッションを重ねた成果でもある。その結果、ファミリーマートのメディアでの露出量は、いわゆる広告換算値で2021年から倍以上になった。それに伴い、各キャンペーンの認知度も向上し、「露出が増えたことで、(実はキャンペーンの数は以前から変わっていないが)新商品やキャンペーンが増えて、ファミリーマートが元気になっている」という認識もできつつある。 35.696174, 139.75896334.668645, 135.50120235.172559, 136.884037 pic.twitter.com/Gtt4YxV7V6 ─ ファミリーマート (@famima_now) July 20, 2021