RAG(検索拡張生成)とは何かをわかりやすく解説、LLMとどう併用?安野氏の活用例とは
RAGの活用例
RAGは、さまざまな業界で導入されている。以下に、代表的な活用シーンを3つ紹介する。 ■チャットボットへの活用 RAGをチャットボットへ活用すると、問い合わせ対応可能な業務が増え、効率化にもつながる。マニュアルを外部情報として活用すると、過去の対応履歴をもとに質問に合わせた回答ができる。これまで、人が回答を担っていた顧客対応を自動化でき、オペレーターの負担が短縮可能だ。 実際の活用事例として、京都市の保健福祉局 障害保健福祉推進室のケースがある。この事例では、1日約200件の電話対応に追われ、十分な対応時間を確保できずにいた。人手が不足している中、電話対応が遅れがちで回答に時間を要していたという。 そこで、チャットボットなどのAIサービスを手がけるネオスが提供するRAGを搭載した対話型チャットボットを導入し、問い合わせの自動対応を開始している。これにより、利用者が待機せずに即座に回答を得られるようになり、24時間365日対応が可能になったという。 ■マーケティングのサポート 企業のマーケティングや市場調査においても、RAGは役立つ。膨大な顧客データから個々の購買履歴や好みを分析し、1人ひとりに最適化されたプロモーション施策の立案を支援する。これにより、従来人が行っていた市場調査の工数を削減しつつ、精度の高い商品提案システムの構築が可能となるのだ。 例として、東京ガスでは、RAG技術を活用したマーケティングツール「AIGNIS-marketing」を開発し、多様な顧客属性に応じたマーケティング施策の立案から実行までの一連のプロセスを自動化しているという。 ■社内ナレッジの検索・出力を支援 RAGを導入すると、社内の膨大なドキュメントやナレッジを効率的に検索・活用できる。たとえば、製造業での、蓄積された技術文書や不具合対応記録などの大量のドキュメントを適切に管理・活用できていないなどの課題を解決できる。 製造現場でトラブルが発生した際、作業者がRAGを取り入れた生成AIを活用することで、過去の類似事例や解決策を即座に検索・参照できる。 具体的には、設備異常が発生した場合、症状を入力すると、RAGが過去の保守記録から関連する事例を抽出し、対処方法を提供してくれるケースなどが考えられる。