カイロス2号機また失敗…3分7秒後に爆破も識者「2回目で打ち上がった、60点あげる」
宇宙新興企業スペースワン(東京)の小型ロケット「カイロス」2号機は18日、初号機の打ち上げ失敗から9か月後となる再挑戦に失敗した。打ち上げ後に記者会見した豊田正和社長は「経験やデータは次の挑戦の糧になる」と話し、原因究明を急ぐ考えを示した。
カイロスを巡っては、初号機が3月13日、発射直後に爆発して失敗している。今回、人工衛星の軌道投入に成功すれば、民間企業が単独で開発したロケットとしては国内初の快挙だった。
同社によると、打ち上げから約1分20秒後に第1段エンジンの燃焼ガスが噴き出るノズルに異常が生じたが、設定した飛行範囲を飛んでいた。その後、第1段エンジンを切り離し、ロケット先端の衛星を覆うカバーを分離したものの、想定の飛行ルートから外れ、発射から3分7秒後に自律的に機体を爆破するシステムが作動した。
同社は原因究明の対策本部を設置し、ノズルの位置や角度などを調べている。今回の失敗について、和歌山大の秋山演亮教授(宇宙政策)は「燃焼ノズルを動かす装置のモーターやセンサー、姿勢制御のソフトウェアなど原因となる可能性を一つずつつぶしていく必要がある」と話した。
打ち上げ時の映像では、ロケットが回転しながら飛行する様子もみられた。的川泰宣・宇宙航空研究開発機構(JAXA)名誉教授は「ノズルはスピードを上げるための装置で、機体の一番後ろに付いている。ガスの噴き出す方向がコントロールできなくなり、機体の進行方向がずれていったのではないか」と指摘した。
ロケット開発は、技術が成熟するまで失敗が続くケースが多い。実業家の堀江貴文氏が創業した新興企業インターステラテクノロジズ(北海道)が、2019年に民間で初めて宇宙空間にロケットを到達させたのも3回目の打ち上げだった。
沢岡昭・大同大名誉学長(宇宙利用戦略論)は「国のロケットも失敗を重ねて成功に至った。まだ2回目なので、地上から打ち上がった今回は60点をあげてもいいのではないか」と述べ、次の挑戦に期待した。