RAG(検索拡張生成)とは何かをわかりやすく解説、LLMとどう併用?安野氏の活用例とは
RAGを導入する際の注意点
RAGシステムの導入時にはさまざまな注意点があり、十分な対策が求められる。以下の項では、RAGを導入する際の注意点を2つ解説する。 ■外部情報のファクトチェックを行う RAGで生成される情報の精度は、参照するデータベースの正確性に大きく左右される。蓄積された情報に不適切な内容や間違った事実が含まれていれば、出力結果も誤った内容となる。 そのため、外部情報を学習させるためには、信頼できるデータを選定する必要がある。具体的には、公共機関の資料や研究結果、検証済みの社内文書など、正確性が担保された情報源から優先的にデータを収集するべきだろう。 加えて、情報が古くならないために、一定のサイクルでコンテンツを更新することをおすすめしたい。古い情報を最新のものに置き換えていく仕組みを確立すると、正確な回答を維持し続けられる。 ■セキュリティ対策が必要 RAGは保持しているデータを広範に検索する仕組みである。その特性上、機密性の高い情報が含まれていた場合でも、判別せずに回答の情報源として引用してしまう。情報漏えいにつながる恐れがある点には、十分な注意が必要だ。 対策としては、システム構築の段階から、適切なセキュリティ施策の実施が求められる。たとえば、検索対象のデータベースから、アクセス権限に応じて情報の参照範囲を制限するといった対策を講じるべきだ。 このようにRAGは、自社情報や信頼性のある外部情報を検索して回答するため、生成AIの弱点であるハルシネーションなどのリスクを軽減しながら、独自の情報を出力できる便利な存在だ。昨今は、チャットボットやマーケティング施策など、さまざまな用途で生成AIが活用されはじめており、今後ますますビジネスでの導入が進んでいくだろう。
関連動画 本記事のインタビューの様子は、ビジネスに役立つ動画チャンネル「BIT Movie」で公開中です。記事には入りきらなかったお話を以下の動画からご覧いただけます。ぜひ記事と合わせてご確認ください。
取材協力:起業家・AIエンジニア 安野貴博