角田裕毅と平川亮が”チャンピオンマシン”を走らせた……日本人ドライバーが”F1優勝”に近づいた1週間。しかし過去にもふたつのエピソード
角田裕毅が、F1のポストシーズンテストでレッドブルの最新マシン”RB20”をついに走らせた。このRB20は、今季マックス・フェルスタッペンがドライバーズチャンピオンに輝いたマシンである。またアブダビGPのFP1では、平川亮が直後にコンストラクターズチャンピオンに輝くことになるマクラーレンのMCL38をドライブ。日本人ドライバーが、立て続けに”チャンピオンマシン”に、しかも公式テストで乗ったわけだ。 【ギャラリー】角田裕毅がアブダビテストで”チャンピオンマシン”レッドブルRB20をドライブ 日本人ドライバーが、また一歩F1での優勝に近づいた年……2024年はそう位置付けられるかもしれない。 過去の歴史を見ていくと、日本人ドライバーがチャンピオンマシンを、グランプリはもちろん本格的なテストで走らせたことはほとんどない。優勝に手が届くマシンという点でも、ほんの一握りである。 1980年代後半には、中嶋悟や星野一義が日本国内でウイリアムズのFW10やFW11を走らせている。当時はまだテストに制限がなかった時代であり、彼らはホンダエンジンのプライベートテストを担当したという位置付けであった。また、中嶋がF1デビュー年の1987年に乗ったロータス99Tは、チームメイトのアイルトン・セナの手により2勝を挙げている。2003年の12月には、本山哲が同年のハンガリーGPでフェルナンド・アロンソが勝ったルノーR23を、スペインのヘレスで行なわれた合同テストで走らせている。 ”優勝経験車”という範囲まで広げても、おそらくこれくらいである。佐藤琢磨が2004年に在籍したBARホンダはコンストラクターズランキング2位となったが、チームメイトのジェンソン・バトンも含め0勝。小林可夢偉がデビュー時にドライブしたトヨタTF109も、勝てるポテンシャルはありながら、ついぞ勝てなかったマシンだ。 ただ、優勝を狙うことができるマシンで、日本人ドライバーが実戦で乗るチャンスも実はあった。しかも2回も。