パリ・ノートルダム大聖堂の新ステンドグラスを手がけるのは誰!? 現代アーティスト8人が最終候補に
フランス文化省は、パリ・ノートルダム大聖堂のステンドグラスの一部を現代アート作品に置き換える計画を進めている。同省は9月4日、計画の最終候補作家であるジャン=ミシェル・アルベロラ、ヤン・ペイミン、ダニエル・ビュレン、フィリップ・パレーノを含む8人を発表した。彼らは11月4日までに最終計画を提出し、大聖堂のローラン・ウルリッヒ大司教とエマニュエル・マクロン大統領の審査を受ける。その結果は大聖堂の再開予定日の12月8日までに公表される予定だ。 だがこの計画を、フランス国家遺産委員会は全会一致で否決した。その理由は、建築家ウジェーヌ・ヴィオレ=ル=デュックとジャン=バティスト・ラッススが19世紀半ばに大聖堂を修復した際に制作されたステンドグラスが、2019年の火災による被害から免れていたからだ。
アートニュースペーパーによれば、地元の専門家、建築家、美術史家は、この計画が1964年のヴェネツィア憲章やその他の文化遺産ガイドラインの原則に違反しているとも話している。彼らは「文化財の不可欠な部分を形成する彫刻、絵画、装飾は、それが保存を確実にする唯一の手段である場合にのみ撤去することができる。文化財の建設に対するあらゆる時代の貢献は尊重されなければならない」と主張している。同計画に反対する請願書は14万7000人以上の署名を集めたが、マクロンはオリジナルを保存するとしながら、同計画を支持する姿勢を崩していない。 最終候補作家の1人、パスカル・コンヴェールは、国家遺産委員会の不承認を受けて辞退した。 とはいえ、ノートルダム大聖堂の長い歴史の中でステンドグラス交換は何度も行われてきた。19世紀半ばの改修の際にヴィオレ=ル=デュックは、室内により多くの光を取り入れるために半透明ガラスに幾何学的な形をあしらった「グリザイユ」の窓に替えたほか、1937年には大聖堂の他の窓も12人の画家による現代的な作品に取り替えられた。ピエール・ボナール、ラウル・デュフィ、モーリス・ドニなど当時の画家たちはこのアイデアを擁護したが、マスコミはこれらの作品を「ピエロのよう」「酔っぱらいのミュージシャンが率いるジャズ・オーケストラ」と酷評した。そしてフランス美術保護協会は、これは大聖堂に対する「冒涜」であるとして嘆願書を提出。その後1939年に第2次大戦から守るためという理由で取り外されている。