被害者、加害者にならないために コロナ禍に警戒「インフォデミック」
新型コロナウイルスに関する情報が、大量に飛び交っている現在。最も避けるべきことは、誤情報や不正確な情報を信じ込み、誤った行動をしてしまうことです。コロナ禍において、正しい情報収集をするためには、どのようなことを意識すべきなのでしょうか。 米国国立研究機関に所属する専門家であり、新型コロナウイルスに関する正確な情報を届けるプロジェクト「こびナビ」の運営者でもある、峰宗太郎医師にお話を伺いました。峰医師が今問題視している「インフォデミック」とは――。(Yahoo!ニュース Voice)
コロナ禍に警戒すべき「インフォデミック」とは
WHO(世界保健機関)は、今回の新型コロナウイルスの流行が始まった当初から、「インフォデミック」の発生に警戒を示していました。 インフォデミックとは、「information(情報)」と「epidemic(流行)」を組み合わせた造語で、情報が非常に氾濫している状態を表します。具体的には、役に立たない情報、間違った情報、デマや嘘を含む情報が多く氾濫してしまうことによって、最も大切な情報や正確な情報などにアクセスするのが困難になっている状況を指します。 コロナ禍の今、SNSをはじめネット上においても、また多くのメディアにおいても、様々な情報が飛び交っています。その結果、何が大切な情報であるかわからないままに、多くの方が右往左往してしまったり、正しくない情報に従って行動を変えてしまったりしているように見受けられます。
情報収集において注意すべきこと
インフォデミック下で情報収集するために重要なことは、いくつかあります。 公的な情報源複数を含む、複数の情報源をそれぞれが持つこと。そして、情報の内容について比較検討(クロスチェック)することです。 クロスチェックとは、複数の情報源からの情報を見比べて、比較検討することです。これにより、情報の正確性、妥当性のラインを知っていくことが大切です。 例えば、先日私がYahoo!ニュースVoiceで発信した記事(mRNAワクチンは「本物の病原体ではなく、設計図」今知っておくべき知識)に、多くのコメントをいただきました。 これらに目を通すときは、必ずクロスチェックの意識を持たなければなりません。 センセーショナルな言説、または自分にとって都合がよいと感じる言説を、そのまま鵜呑みにしてしまうことは、あまりに危険です。冷静に情報のソースを確認した上で、公的な情報源複数と比較検討し、参考に値するかどうかを判断しましょう。 また、「誰々が言っているから正しい」「テレビでやっていたから正しい」「新聞にのっているんだから正しい」といった、権威主義的・属人主義的な思考は、排除していかなくてはいけません。 どのような媒体にのっていても、それが正しくない情報、妥当でない情報であることは、残念ながらありえます(公的情報でも間違っていることはあります)。複数の情報源を持ち、比較検討しながら、何が正しいかをしっかり考え、解釈していくようにしましょう。