柏木由紀「コンプレックスと向き合う方法を教えて」メイク動画を発信する理由
今年4月に17年所属していたアイドルグループ・AKB48を卒業した柏木由紀さん。卒業後は、テレビのバラエティ番組や歌手活動のほか、自身初となるメイク本を11月に出版するなど精力的に活動している。「AKB時代から人と比べないようにしてきた」という柏木さんに、メイクを通してどのように自分と向き合ってきたのか、そしてAKB卒業後の現在地を聞いた。(ジャーナリスト・中村竜太郎/Yahoo!ニュース Voice)
人と比べられてしまったAKB時代。意識的に比べないように
――読者への質問が意外でした。芸能人であっても外見的コンプレックスをお持ちなんですね。 柏木由紀: コンプレックスはありますね。挙げたらきりがないくらいいっぱいあります。それこそ女の子ばかりのグループにいたので、右も左も前も後ろもかわいい女の子に囲まれて、どうしても比べられてしまうこともありました。でも、「こういう顔になりたい」って思っても、もともと造りが違うわけだし、顔で人と比べるのは、もうどうにもならない。だから意識的に人と比べないようにしていましたね。 ――コンプレックスがあるとはいえ、ご自身のYouTubeチャンネルで“すっぴん”を公開されています。なぜ、そうしたのでしょうか。 柏木由紀: もともとAKBのときはメンバーの人数が多いので、なるべくメイクさんに頼らず全部自分でメイクをしていました。私は自分の顔にコンプレックスがたくさんあって、それをメイクで隠せればいいなというのもありましたし、メイクをすることで気持ちが前向きになる面もあったので、YouTubeを始めるときにメイク術を動画で伝えるというアイデアが浮かびました。それで、メイクでこの顔がこんなに変わりますよっていうのを伝えるには、すっぴんから見せないと意味がないなって思ったんです。実はAKB時代、10年以上すっぴんをNGにしていたんですけど、自分が伝えたいこととすっぴんを出すことを天秤にかけたときに、みんなにきちんと伝わるほうがいいなと考えて、自分で決断しました。 ――もともと抵抗はあったんですね。 柏木由紀: まず、アイドルのキラキラとは違う姿を見せるのはファンの方ががっかりするだろうなと。YouTubeでやるって決めたとき、誰も見ないだろう、憧れられる対象じゃないというのは分かっていて…。女の子のファンもほとんどいない、女性に支持されていないということはメイク動画を発信するうえで不安でした。けれど、私の研究した方法を誰かに教えたい。それを見てもらうには、素顔を出してコンプレックスを克服するメイク方法を紹介したら女性が見てくれるんじゃないかなと考えたんです。私の場合、「鼻がコンプレックスで、こうすると高く見せられます」ということを伝えるため思い切ってやってみました。 ――反響はどうでしたか。 柏木由紀: 賛否両論です。心ない言葉がたくさんくるだろうなと想定していたんですけど、私の想像よりは、割りと好印象なコメントが多かった気がします。「本当に分かりやすい」とか「メイクでこんな変われるなんて知らなかった」とか。一方でアイドルファンの方から「なんか残念です」「がっかりしました」というのもたくさんありましたけど、それよりもメイク動画をきっかけに、同性の女性の方がたくさん見てくださるようになったし、伝えたいことが伝わっているので、プラスのほうが大きかったかなと思います。 ――10代でAKBに加入され、仕事上メイクをする状況になりました。当時を振り返ってどうですか。 柏木由紀: 当時はまだ中学生でしたし、メイクにまったく興味がなくて、母の使っているものを借りて見よう見まね。正直なところ20代半ばまでメイクは何のためにするのかということも分からずやっていました。仕事が忙しくなると毎日のメイクはルーティン化していて、足せば足すほど華やかに見えるのかなと勘違いして、どんどん濃くしていったり。メイク直しも厚塗り状態。昔の写真を見ると、なんでこんなメイクをしていたんだろうって恥ずかしくなります(笑)。 でも25歳ぐらいからメイクやコスメ紹介のSNSにハマるようになって、それこそバズっている商品など全部買って試してみたんです。そしたら、みんながいいと言っているものって本当にいいことが多くて、それ以来メイクが趣味みたいになっちゃいました。