岡副麻希「奨学金のおかげで自分の世界が広がった」親になった今考える“学びとお金”
今年5月に第一子を出産したフリーアナウンサーの岡副麻希さんは、奨学金制度を利用して大学進学した経験があり、昨年自身のSNSで奨学金の完済を公表している。「社会に出たら自分で返済しなければいけないので、就職活動へのプレッシャーは少しあったが、お金の重みを学べた」と当時を振り返る岡副さんに、親の立場になった今、奨学金制度について思うことを聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
◆専門家が見る記事のポイント
岡副麻希さんの「奨学金を借りていいことづくしでした」という言葉がとても印象に残りました。奨学金を借りた経験を持つ方に実際どんな学生生活を過ごしたのかを聞くことは、奨学金をポジティブに捉えるきっかけになりますので、制度の利用を検討している親御さんや学生さんは参考にしてみてはいかがでしょうか。【経済評論家・ファイナンシャルプランナー 横川楓】
奨学金のおかげでかけがえのない大学生活を送れた
――岡副さんは奨学金をもらって大学に進学されたそうですね。 岡副麻希: 私の出身高校が大阪桐蔭という高校野球の強い学校なんですが、あるとき野球の応援席から見たアナウンサーの姿がかっこよくて、アナウンサーになりたいと思うようになったんです。アナウンサーの出身校を調べてみると、早稲田大学や慶應義塾大学、青山学院大学など東京の大学が多かったんですよね。そういったこともあって、当時の私は、地元の大学ではなく東京の大学に行きたいと思ったんです。 でも、そのことを両親に話すと「本当に行きたいなら自立しないと東京には出せない」と言われてしまって。私が一人っ子なので親としてはできれば地元にいてほしかったのと、私の覚悟を試していたのかもしれないですね。それでも私は東京に憧れを持ってしまっていたので、なんとか自立する方法がないかを調べて、奨学金という制度があることを知りました。迷いなく「これだ」と思い、奨学金を借りることにしたんです。 ――奨学金を借りることに抵抗はなかったのでしょうか。 岡副麻希: 奨学金というと、「社会に出たときに借金を抱えて苦労する」という意見もあると思うんですが、当時の私は楽観的だったのでそんなことは考えていなくて。「東京に行って自立できるなら絶対に借りたい!」という気持ちだけでした。 実際に奨学金を借りてみると、自分でお金を借りているからもったいなくて授業をサボるという思考にもならず、一つ一つの授業の重さを感じてすごく身が引き締まったんです。もともと小説を読むのが好きだったので文学系の学部に進んだんですけど、自分で小説を書くこともあったし、全ての授業が興味深くて。単位を取り終わってからも、卒業のギリギリまで講義を取って楽しく授業を受けていました。奨学金を借りたことによって、大学ではアルバイトばかりの毎日にならず、サークル活動も楽しめました。 大学で出会った友人たちは、今でも連絡を取り合うほどかけがえのない存在です。だから私は、奨学金を借りて結果的にいいことづくしでした。大学4年間がなければ、たぶんずっと親元でおんぶに抱っこで、知らなかったこともたくさんあったと思います。奨学金のおかげでかけがえのない時間を過ごせたことは、本当に感謝しています。 それでも、社会に出たときには自分で奨学金を返済しなくちゃいけないので、就職活動のときは「絶対どこかに就職しなきゃ」と少しプレッシャーに感じました。ただ、それがあったからこそ就職活動も頑張れましたし、お金の重みを学べた気がします。もちろん奨学金を借りずに進学する人もいますが、そういう人でもどんどんこの制度を使えば、世界はもっと広がるんじゃないかと思います。