柏木由紀「コンプレックスと向き合う方法を教えて」メイク動画を発信する理由
“憧れの存在”ではなく“同性の仲間”になりたかった
――メイクを積極的に楽しむようになって、自分自身に変化はありましたか。 柏木由紀: 私は「面長が気になる」「鼻を小さく細く見せたい」というコンプレックスがあったんですけど、それをプロのメイクさんに相談したら、「じゃあ、鼻細く見せるよ」と言ってくれて、そんなことできるのかととても驚きました。鼻はサイドに、茶色などで影を作って細く見せるとか、まったく知らなかったテクニックがたくさんあって、もうさらにメイクのとりこ。こんなに変わるんだっていうのを知りました。 ただメイクが義務みたいになっちゃうと、面倒くさいし時間もかかるし、結構しんどくなっちゃう。だから、自分のテンションを上げてくれるようなメイクを研究して、そこにたどり着くことは大事だなと思います。いまはメイクしてすごく戦闘力が上がる感じというか、メイクしてない状態はHP(※生命力を表す指標のゲーム用語)がゼロな感じ(笑)。だけどメイクをちょっとずつしていくことで、どんどんHPが上がっていって、完成したらすごい元気が出てくる、そんな感覚ですね。 ――メイクによってコンプレックスと向き合うことができているんですね。今年の4月でAKB48を卒業されましたが、AKB時代には選抜総選挙などもありました。 柏木由紀: どうしても総選挙は否が応でも、自分がそう思ってなくても勝手に比べられたり、勝手に順位が付いてしまう。特殊な経験なのかもしれないけど、それでいちいち落ち込んでいたら本当にきりがないんです。だから、自分が落ち込むことをそもそも考えないというか、自分はダメだって思うことをしない。すごい人は最初からスペックが違う人なんだと思い、比べないようにしています。外見的コンプレックスも含め、落ち込まないための考え方を自分の中で少しずつ考えていき、それを実行するようにしていきました。 同じことでも考え方や捉え方で前向きになったりするじゃないですか。人と比べて落ち込むのはすごくしんどいことだというのはAKBを続けていて実感していたので、なるべくテンションが下がらないよう心がけています。その方法のひとつにメイクがあって、それがいま私の中で大きなウエイトを占めています。 ――そしてAKBを卒業された現在ではメイク術を発信して、多くの女性から支持されるように。単にテクニック的なことだけじゃなく、コンプレックスを克服しようという思いや前向きな姿勢が伝わっている気がします。 柏木由紀: “憧れの存在”じゃなくても、普通に悩んでいる同性の方の“仲間”になりたかったのかもしれません。私自身、「AKBと本当の自分はかけ離れているな」「こんなに毎日キラキラしているわけじゃない」と思っていて、どこかうそをついている感覚が長い間ありました。実際の私は、「芸能人」「すごい」と思われるのは苦手だし、おしゃれなインスタを見ても1ミリも憧れないタイプ。だから全部自分の素を出してしまえば楽になるというのがあって(笑)。いまはありのまま自然体でやれたほうが楽しい。メイクでテンションアップするのもそうですけど、そうやってせめて自分で自分を認めてあげたいなと思います。 === 柏木由紀 1991年、鹿児島県出身。2007年にアイドルグループ・AKB48のメンバーとしてデビュー。“ゆきりん”の愛称で活躍し、2024年4月に歴代最長となる17年在籍したAKB48を卒業。卒業後も、デジタルシングル曲「I’m not alone」を発売するほか、テレビのバラエティ番組などにも数多く出演。2024年11月には自身初となるメイク本「メイクで見つける可愛いの法則」を出版。 Yahoo!ニュース Voiceでは、あなたのコメントを募集しています。なおコメント投稿にあたって、ご自身の個人情報やそれに準ずる情報の記載をすることはお控えください。