写真家・若木信吾さん親子インタビュー「書店BOOKS AND PRINTSの話」
-お父様が店頭に立たれたきっかけはあったのでしょうか?ショップバックのデザインもされていますね。 「ショップバックについては自発的にやってもらえたんで、すごく嬉しかったですよ。元々本屋をやると言っても誰かスポンサーがいるわけでもなく、予算が潤沢にある訳じゃないじゃないですか。よく新しいお店はノベルティをバンバン作ったりするけど、そういう店は長く続かないという傾向も知っているから、一切やらないって方針だったんですよ。お店のオープニングなんかも、レセプションパーティー的な決まったものはまるでやらないっていう方針で。 でもそれを見て店の宣伝をする意欲が全く感じられないって親父が言って、でもそんなのはお金の無駄なんだよっていう話をしたら、その人数感で出来るんだったら自分が一枚ずつ書いたら良いと思ったらしいんですよ。 ほとんど僕がお店に行けなかった時期で直接は知らないんですが、結構お店にも立ってもらっていたようで。お客さんと直接面と向かって話すとニーズが分かるのに、自分では何もできないというのが心苦しかったんじゃないでしょうか。でも現場対応がうまくいった例というか、現場のニーズにすぐにアクションを起こしたという意味では、この本屋の中で一番良かった出来事じゃないですかね。 元々この本屋ではそういうことがやりたかったんですよ。地元の人のニーズがあるから、そのお店があるというのが一番じゃないですか。便利さを求めるならアマゾンだってあるんだし。そんな中でわざわざ足を運んでくれて、そこにコミュニケーションがあるっていう確認がしたいときに、そのツールとしてこの紙袋が出てきたっていうのは、自分の知らない間に地元で何かが始まっている感じがあって、すごく嬉しかったですよね」 若木さんが思い描いていた本屋は浜松で自走し始めていたのだった。その中心にいたうちの一人が父親の欣也さんだった。