写真家・若木信吾さん親子インタビュー「書店BOOKS AND PRINTSの話」
お二人へのインタビューが終わってから、スタッフの中村さんに改めてお礼を伝えると、「欣也さんは信吾さんが小さい頃に出来なかった親子らしい関係を取り戻そうとしていると思うんですよね」と言った。僭越ながら私も同じことを感じた。そして、書店の経営という同じ目的を持ちつつ、それぞれの活動が緩やかに呼応しあっている現在の関係は素敵だと思った。 BOOKS AND PRINTSは、当初の写真集のセレクトを中心とした書店からイベントなども頻繁に行われるスペースになり、最近では東京から立ち寄るお客さんも増えている。多くの人にとって浜松は新幹線で通過するだけの場所かも知れないが、一度立ち寄ってみる価値のある場所だと思う。確かに地方都市にお決まりのシャッター商店街や、駅前に鎮座するゆるキャラにはうんざりするし、街には飲み屋とカラオケしかないと言う人もいるけれど、若木さん親子とBOOKS AND PRINTSを通じて知った浜松は、人との距離が近くて新しい価値が生まれるきっかけがある街だと感じた。若木さん親子の気持ちを浜松の街で感じ、人々の「街を楽しくしたい」という素朴な思いの有機的なつながりが街を生き返らせていくのではないかと思った。
若木欣也 昭和14年生まれ。若木信吾の父にして、オープン当初より店番をする最年長スタッフ。2011年5月よりショップバックにイラストを描き始め、現在までに約300点を製作。(KINYA WAKAGI Shopping Bag Showより引用。)
若木信吾(写真家・映画監督) 1971年静岡県浜松市生まれ。ニューヨーク・ロチェスター工科大学写真学科卒業後、雑誌・広告や音楽媒体など幅広い分野で活躍。自身の祖父を撮り続けた代表作の写真集「Takuji」が、国内外で高い評価を受ける傍ら、雑誌「youngtreepress」の編集発行、映画「星影のワルツ」の制作、2010年には故郷の浜松に書店「BOOKS AND PRINTS」をオープンさせるなど、活動の場を広げている。映画 監督として第三作目の映画『白河夜船』(原作:吉本ばなな)が2015年春より全国順次公開中。15年間撮り続けた幼なじみ「英ちゃん 弘ちゃん」(IMA BOOKS)の新作写真集は重版が決定。今年10月10日~11月3日まで静岡県浜松市の鴨江アートセンターで若木信吾写真展「XX」を開催予定。 Youngtree Press: BOOKS AND PRINTS: (この記事はジャーナリストキャンプ2015浜松の作品です。執筆:イシダアツオ、デスク:藤井誠二)