冠水時の避難に長靴は要注意、その理由とは? 水害に備えておきたい基礎知識
――ハザードマップの見方を教えていただきたいです。 高荷さん: 水害に備えるため、まずは「津波」「浸水(高潮・内水氾濫・洪水)」「土砂災害」のハザードマップをチェックしましょう。 津波ハザードマップは、津波が到達する可能性のあるエリアに、水没する深さに応じた色が付いています。津波は木造住宅などを破壊してしまう可能性がありますので、わずかでも津波が来るエリアにある木造住宅の場合は、地震直後の避難が必要です。マンションや鉄筋コンクリートなどの頑丈な建物に住んでいる場合は、建物そのものが破壊される可能性は低いですが、自宅や職場があるビルのフロアを水深が超えると命を落としかねません。津波が自分のいる部屋の高さまで来るかどうかを地図上で確認しましょう。
浸水ハザードマップは高潮・内水氾濫・洪水の3種類があります。自宅や職場が入居しているフロアまで水が来ないかどうかを確認してください(重ねるハザードマップは「高潮」と「洪水」に対応、内水氾濫ハザードマップは自治体の地図を見る)。夜間に台風などが接近して急激に水位が上がったり、洪水が突発的に発生したりする場合もあるため、寝室まで水が来るかどうかもチェックしておきましょう。
土砂災害ハザードマップは、土砂災害警戒区域あるいは土砂災害特別警戒区域エリアに色がつけられています。具体的には、崖崩れ・地すべり・土石流などが発生する場所について色分けしています。大雨や大地震が発生した場合、突発的な崖崩れなどが発生する危険があります。そのエリアに自宅や職場があるなら、大雨や大地震が発生した直後に速やかに安全な避難場所に移動しましょう。 ――ハザードマップをチェックする際の注意点を教えてください。 高荷さん: ハザードマップはあくまでハザード(危険な場所)を示すマップであって、セーフティエリア(安全な場所)を示すものではありません。色が付いている場合には危険があると認識していただきたいのですが、色が付いていないからといって安全だとは限らないのです。 ハザードマップに色が付いていない場合、現在進行形でハザードマップが整備されている最中で、まだ色が付いていないだけという可能性もあります。また、小規模な河川や用水路、小さな崖は、ハザードマップの対象にはなっていません。 ハザードマップに色が付いていなかったとしても、必ず自分の目で自宅や職場の周辺をチェックして、本当に危険が無いのかを確認しましょう。 ――万が一避難が必要になった場合、避難場所と避難所のどちらに逃げればよろしいでしょうか。 高荷さん: 避難場所と避難所は名前が似ていますが、違うものです。 津波や洪水、土砂災害から命を守るために駆け込んでほしいのが「避難場所」。法律の正式な名称では「指定緊急避難場所」です。避難場所は災害の種類ごとに違う場所が設定されており、ハザードマップにも記載されているのでチェックしておきましょう。 そして、命を守ったあと、地震や水害の被害を受けて自宅に住むことができなくなった場合や、ライフラインが断たれて生活できない場合に、一時的に身を寄せる場所が「避難所」。法律上の正式な名称は「指定避難所」です。最寄りの学校や公民館などの公共施設が指定されています。災害発生後に家族と落ち合う場所を決める場合は、どこの避難所に逃げるのかを決めておくとよいでしょう。