防災の専門家が教える「非常用持ち出し袋」と「日常備蓄」の備え方。コロナ禍の今だからこそ用意すべきものは
災害に備えて、「非常用持ち出し袋」や「日常備蓄」を用意しているご家庭は少なくないでしょう。もしかしたら、不安にかられて、持ち出せないくらいの量を非常用持ち出し袋に詰め込み、必要以上に備蓄している人もいるかもしれません。25年にわたって防災に関わる活動に取り組む、危機管理アドバイザーの国崎信江さんは「命を守るために必要なものだけを用意し、無理なく備えてほしい」と言います。国崎さんに、最低限の非常用持ち出し袋の備え方や、女性や乳幼児、高齢者が用意すべきもの、コロナ禍での必需品や日常備蓄のコツを伺いました。(Yahoo!ニュース Voice)
非常用持ち出し袋は1人1つが基本。命を守るために必要なものだけを入れる
――国崎さんが考える「防災で大事なこと」は何でしょうか。 国崎さん: 災害に備えることは大事なことですが、防災を意識しすぎるあまりに不便や面倒を感じてしまうと長続きしません。私が信念としてきたのは「無理をしない」ということです。非常用持ち出し袋を用意するにしても、日常備蓄に取り組むにしても「これなら続けられる」と思えるやり方で災害に備えてほしいと思います。 ――家庭で非常用持ち出し袋を用意する際に、注意すべきポイントを教えてください。 国崎さん: 非常用持ち出し袋は1人1つ用意しましょう。自分に必要なものは自分で用意して、いざという時にそれぞれが持っていけるようにする。これが大切なポイントです。 そして、避難時は気が動転していつもよりも焦っていると考え、必要なタイミングで必要なものを取り出せるようにバッグの詰め方も工夫しておきましょう。バッグに非常用品を詰める際は、応急処置や体温保持をするためのアイテムなど、体を守るために必要なものを中心にすぐに使いたいものを上に入れておくのがポイント。食料や水、ラジオなど、少し時間が経ってから使うものは、バッグの底の方に入れておくとよいでしょう。
――非常用持ち出し袋に最低限入れておいたほうがいいものは何でしょうか? 国崎さん: 非常時なのであれもこれも必要だと思いがちですが、身軽に避難するためにも本当に必要なものだけを入れていただきたいです。 なかでも私が一番必要だと思うのが、応急処置ができるアイテム。ケガをした状況で避難行動しないといけないかもしれないし、避難している途中でケガをするかもしれません。自分で手当てできるように、止血用品や包帯・三角巾といった応急処置できるものを必ず入れておいてください。 次に、トイレですね。食べることは一時的に我慢できても、トイレは生理的に我慢できません。簡易トイレのセットだと便袋や消臭剤、凝固剤のみしか入っていないこともあるので、必ずトイレットペーパーも必須です。かさばらないように芯まで折って、濡れないようにジッパー付きの袋に入れておくといいでしょう。 食料は、水やお湯を使って調理をするものよりも、すぐに食べられる物の方が重宝します。日頃から食べ慣れているゼリー状の栄養ドリンクや栄養補助食品、スナック菓子などがおすすめです。 水はサイズ的に500mlのものが飲みやすく便利です。袋に入れる本数はご自身の体力に合わせて調整しましょう。避難所に給水車が来た際に備えて、給水袋も入れておきましょう。 生命を維持するためには体温保持も欠かせません。体温保持のためには、アルミブランケットやご家庭にあるラップ、レジャーシートなどが有効です。アルミブランケットを羽織れば、外気から体温を保持することができます。ラップは腹巻きやネックウォーマーの代わりになり、レジャーシートは避難所の床の底冷えから体温を守るのに役立ちます。 また、断水時に手の汚れを拭うためにウエットシートも入れておきましょう。大判のウエットシートであれば、お風呂に入れなくても全身をすっきりさせることができます。着替えやタオルも忘れずに入れます。 災害情報を入手するにはスマホやラジオも欠かせません。電池切れすると使えないので、ラジオは手回しで使えるものがおすすめです。スマホの充電切れに備えて、モバイルバッテリーも用意しておきましょう。ソーラー電池で動くモバイルバッテリーも入れておくとよいかもしれません。