ウクライナ伝統工芸品の店が長崎市にオープン 留学生発案「交流が楽しみ」
ウクライナ出身の留学生が手がける母国の伝統工芸品オンラインショップ「UA.Designer」の常設店舗が、このほど長崎市宝町に開店した。専門の常設店は日本では珍しいという。発案者である長崎大大学院2年のアナスタシア・ストラシコさん(26)=同市=は、「たくさんの人にウクライナの文化や魅力を知ってほしい」と語る。 【写真】色鮮やかなウクライナの装飾画「ペトリキフカ塗り」の作品が並ぶ店内 元呉服屋の空きテナントを活用した木のぬくもりを感じる店内。関係者から開店祝いに寄贈された掛け軸や五月人形の横には、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された装飾画「ペトリキフカ塗り」のプレートが並ぶ。猫の毛筆で描かれた繊細な花や鳥が、黒地のプレートを鮮やかに彩る。 店の奥には、現地の職人が一針一針手縫いした刺しゅう「ビーシフカ」があしらわれた民族衣装「ビシバンカ」など、約400点がずらり。オンラインショップに並ぶ前の新作や店舗限定商品など、店舗でしか手に入らない商品もある。 店内の一角は畳敷きのカフェスペースで、現地で親しまれているハーブティーや菓子がふるまわれるほか、ウクライナの伝統行事などに触れるワークショップも予定しているという。 ロシアによる侵攻以降、大好きな故郷に対する世界のイメージが「戦火の国」一色になってしまうことを懸念するアナスタシアさん。侵攻以前のロシアで貿易業を営んでいた高見翔希さん(27)=長崎市=とタッグを組み、23年5月にオンラインショップを開設。これまで700作品を超える「ウクライナの魅力」を日本全国に届けてきた。40人以上の職人と専属契約を結び、母国の仕事の創出にも一役買う。 アナスタシアさんは「オンラインショップではできなかったお客さんとの交流が楽しみ」と語り、「店での伝統文化との出会いをきっかけに、ウクライナのすてきな部分をたくさんの人に知ってほしい」と来店を呼びかけた。 営業は毎週火曜を除く平日の正午~午後7時。催事出展などの際には臨時休業する。 (竹添そら)