城氏のガーナ戦分析「消える時間のある三笘は先発ではなくジョーカー的起用がベスト。久保はまだW杯当落線上」
なぜなら三笘はボールを足元で持つとワールドクラスの力を発揮する一方で“消えてしまう時間“も目立つのだ。オフ・ザ・ボールのプレーが物足りない。動き出しの数が少ないのである。伊東との連携もうまくいかなかった。その典型が後半25分、右サイドの山根からのクロスにファーサイドからフリーでエリアに走りこんできた三笘がヘッドを合わせようとしたが、まったくタイミングがずれてゴールの上へふかすことになった場面。ファーサイドにいるときの三笘は、まるで「自分の時間ではない」と考えているように映って、集中力に欠け、このときも明らかに動き出しが遅れていたのだ。 前半は、南野を先発させて、その汗をかくプレーで、ガチャガチャと相手をひっかき回し、三笘は、後半の勝負所に取っておくのが、最も効果的な起用法ではないだろうか。フル出場でスタミナを失うと、あの突破力も半減してしまう。ジョーカー的な起用の方が、三笘の長所が生き、相手にとっても脅威となるだろう。 また得点を決めることはできずインパクトを与えることはできなかったが上田もいいプレーをした。前半20分に柴崎のクロスにヘッドを合わせたシーンは印象に残った。出ていく瞬間に、一歩下がって、ヘッドを合わせる打点を高く取れるポジションを取った。こういう細かい動き直しとセンス、体の強さが彼の特長で、結果、高さのあるガーナを相手にその上からヘッドを合わせた。出場機会が少なく、連携への戸惑いもあるのだろう。もう1試合見てみたいと感じた。 一方、フル出場して代表初ゴールを決めたものの久保の評価には疑問が残った。厳しい言い方をするが、このままではW杯メンバーから落選してしまうのではないか。現状で言えば鎌田が上。久保は、崖っぷちの当落選上にいる。 この日は右のインサイドハーフで起用された。おそらく森保監督はガーナが「3-5-2」のフォーメーションで来るため、日本の中盤5枚の間でボールを受けることができ、起点になれる久保を抜擢したのだろう。久保にボールを預ければ、何が起きるかを期待したのだろうが、よほどコンディションが悪いのか、精彩を欠いた。特に一歩目が遅く見える。相手のファウルで何度も倒されるシーンが目立った。徹底マークされたというよりも、むしろボールをキープできなかったという印象を受けた。いいときの久保を見ているから、なおさら、物足りなく感じる。 6月シリーズは残るところ14日のチュニジア戦の1試合。W杯の出場メンバーを争うチーム内サバイバルも最終局面に入る。 (文責・城彰二/元日本代表FW)