「『なんですか、これは?』と感じながらも、感動」 ロシア人が日本に興味を持った文学作品とは
外国人が日本に興味を持つきっかけはさまざま。アニメや漫画、ゲーム、日本食をはじめとする文化など、多岐にわたります。イタリアで暮らすロシア人女性は、14歳のときに日本人作家の代表作と出合い、日本へ行きたいと思ったそうです。いったい、どんな作品を読んだのでしょうか。 【写真】訪日を熱望していたロシア人 「真の日本人の生活を堪能できた」と感激した場所の写真 ◇ ◇ ◇
「夢のようでした」と語るほど大好きな和食
現在、イタリアのローマで暮らしている、ロシア人のタチアナ・クプレヴァスカヤさん。「とても日本が好き」とのことで、過去に2回の訪日経験があります。 タチアナさんには、日本の普段の生活や文化、そして日本人の本質に触れるため、観光ではなく「違う方法で日本の旅をしたい」という思いがありました。そのため、日本人と結婚したロシア人女性とフェイスブックを通じて知り合い、日本で暮らす彼女の家に滞在することに。 訪日中に日本の風景や文化に触れ、感激したというタチアナさん。食べ物では和食がとても気に入ったといいます。 「私の前世は日本人だったのでは? と思うほど気に入りました。日本滞在中は、ずっと友人が和食を作ってくれて、どれもとてもおいしかったです。西洋の朝食とは、まったく違うものでしたね。魚とおみそ汁と白米……夢のようでした」
「父から14歳のときに…」 日本の名作との出合い
日本での思い出を振り返るタチアナさん。そもそも、日本に興味を持つきっかけとなったのは、現代日本文学の名作のひとつを読んだことでした。 「父が14歳のときに、安部公房の本『砂の女』をプレゼントしてくれました。とても印象が強かったです。『なんですか、これは?』と感じながらも、感動しました。そのときから私は、日本がどんな国で、日本ってなんなのかを知らなければならないと思ったんです」 「砂の女」は、現代日本文学を代表する作家のひとり、安部公房の代表作。昆虫採集に出かけた主人公が、砂丘の村で暮らす女性と生活することを余儀なくされる物語です。 サスペンスあふれる展開で多くの人を魅了し、人間存在の極限の姿を追求した長編作品は、世界20数か国で翻訳されました。また、フランスで最優秀外国文学賞を受賞するなど、今なお読み継がれている名作です。 この作品を読み、心を奪われたタチアナさん。「私は日本へ行きたい、日本へ行きたいと強く強く思い、いつか行くと確信しました」と語り、同作が自身の奥深くに日本的なものがあると自覚させたと明かします。 「安部公房は、鬼才です。ヨーロッパとはまったく違う文学で、ほかにないような……本当に不思議な文学でした。でも、日本の哲学的な妙に惹かれ、強く興味を持ったんです。私は日本を愛すように、生まれてきたと感じました」 文学作品を通じて、多感な時期に、日本人の思考について強いインパクトを受けたタチアナさん。これからも、さまざまな日本文学に触れてほしいですね。
Hint-Pot編集部