実は閉経前後に上がる「乳がんリスク」!検査すれば確実に発見できるの?【更年期女性の医療知識アップデート講座】
抗がん剤治療中でウィッグをつけながら乳がん罹患を公表した、タレントの梅宮アンナさん。その姿に勇気づけられた人も、また「毎年人間ドックを受けていたのに、検診で見つからなかったの?」と不安や疑問を持った人もいるはず。閉経前後は、乳房の状態も変わる時期。早期発見のための方法を、乳腺外科医の片岡明美さんに伺った。
早期の乳がんには、しこりなどの自覚症状はほとんどない!
乳がんは日本人女性の9人に1人がかかる、女性のがんで最も多いがんだ。特に更年期世代に乳がんが増えていることを知っていて、心配している女性も多いと思う。早めに乳がんに気づくには、どのような自覚症状に気をつければいいのだろうか? 「早期の乳がんには、自覚症状はほとんどありません。進行すると乳房のしこり、皮膚にえくぼやただれができる、左右の乳房の形が非対称になる、乳頭(乳首)から血液混じりの分泌液が出る、痛みなどの症状が起こります。でもこれらの症状は、早期ではない可能性が高まります」と片岡先生。 先日、梅宮アンナさんが乳がんの中でも約5%という稀な「浸潤性小葉がん」のステージ3Aで見つかったことを公表した。彼女は毎年検診を受けていたそうだが、「人間ドックの検診でマンモグラフィと超音波の両方を受けていても見つからない乳がんがあるのか…」と不安になる。 主に乳がんは、乳管というおっぱい(母乳)の通り道にできる。でも、浸潤性小葉がんは、乳房内の小葉というおっぱいを作る部分にできる乳がんだ。この浸潤性小葉がんは、通常の乳がんに比べて、複数の乳がんが同時に出現したり、両側の乳房にがんができることもある。
【乳房の構造】 乳房は、乳腺と脂肪組織からできている。乳腺は、乳頭から放射状に広がり、15~20の乳腺葉(にゅうせんよう)に分かれている。乳腺葉は、乳管と小葉(しょうよう)からできている。腺房(せんぼう)という小さい組織が集まって形作られているのが小葉だ。乳房では、授乳期にホルモンが働くと、腺房が発達して小葉内でおっぱい(母乳)が作られ、乳管を通して乳頭(乳首)まで運ばれる。