「運転中なら、安全なところに停めて話を聞いてください」32歳のある日、妻が緊急事態。5歳の娘を抱えた夫の衝撃
作家・ライターとして「現代のカップルが抱える問題」について取材をしてきた佐野倫子。人間関係が複雑化する現代において、男女間の問題もまたしかり。それぞれのケースを検証してみましょう。 今回お話を伺うのは、若くして結婚、「主夫」として家事や育児に邁進してきた知也さん。紆余曲折ありつつも順調だった32歳のとき、妻の夏子さんが救急車で運ばれたと日中に連絡が入ります。お子さんは当時5歳でした。 お話を伺ってみましょう。 取材者プロフィール 知也さん(仮名):現在35歳。24歳で結婚。1児の父。 夏子さん(仮名):大学の同級生、知也さんと結婚。大学に勤務していたが、32歳のとき突然倒れてしまう。
「20代はひもでした」!?
「私、24歳のときに結婚しまして。仕事もしていなくて、主夫というか、ひもというか。妻が外で稼いでくれて、『いってらっしゃい!』と毎日彼女が車で出勤していくのを見送っていました」 都心のおしゃれなカフェに、仕事を調整して長めのランチタイムを取って取材に応じてくださった知也さん。いい意味で力が抜けていて、優しい笑顔が印象的な方です。 しかし、事前に伺っていたご事情は、決して「気楽な物語」ではありません。背筋を伸ばして聞き入ります。 「妻の夏子は大学の同級生でした。当時の印象はとにかく真面目でクール。優等生だったので、今でもなんで僕と付き合ったの? と思います(笑)。 夏子はいつも本を片手に、何かを思案しているような子でした。僕とはでこぼこコンビという感じです。彼女は大学を卒業してから大学院に進みましたが、僕は就職をしませんでした。バイトしながら、昔から興味を持っていたサービスの紹介記事を作って発信したり、サーバーのことを勉強したりしていました」 お互いを尊重し、マイペースで並んで歩くお二人の姿が思い浮かんでほほえましい気持ちになりました。 さて、平和な毎日を過ごして迎えた夏子さんの大学院卒業の年、夏子さんが研究する分野で、とある大学から助手募集の話が舞い込みます。