なぜ横浜DeNAは虎の1、2番”チカナカ・コンビ”の7安打7得点2本塁打の爆発を防げなかったのか…配球ミスと失投が重なる
上茶谷は、結果的に降板することになる5回も一死から中野に初球のストレートをセンター前に弾き返され、続くマルテには二塁打を許した。いずれも山本の構えたミットと大きく外れた制球ミス。二、三塁となって佐藤を申告敬遠。まだスコアは1-4の踏ん張りところだったが、また大山に対してゾーン内のカットボールから入り、それを狙われてセンターへの犠飛を簡単に打たれた。ここで三浦監督は「初球を打たれた意味を本人が考えいかなくちゃいけない。その意味で代えました」との理由で降板を告げた。 上茶谷は、広報を通じて「初回、先頭を出したことでリズムを作りきれなかったです。その後ストライク先行を意識しすぎたことが反省点です」とコメントした。4月16日のヤクルト戦で91球完封のマダックスを演じるなど、上茶谷の好調理由のひとつが、ストライクを先行しゾーン内で勝負できていることにある。斎藤隆氏を投手コーチに迎えて、投手陣全体のテーマとして取り組んでいることの成果だが、配球の意義を置き忘れると裏目に出る。 まして横浜DeNA投手陣の今季の傾向はデータとして出てきている。さらに、相手の対策の上をいかねば、後手の連鎖に入ってしまうのだ。 バッテリーのミスは伝播するのだろう。二死二、三塁を任された2番手の三上も、糸井をカウント0-2と追い込んでおきながら、3球勝負に出て、一、二塁間に手痛い2点タイムリーを打たれた。ここも配球で防ぐことができたかもしれない失点だった。 糸井、糸原と左打者が続く場面。セオリーでいけば左腕の砂田だっただろう。奇策とも言える継投だが、三浦監督は三上のボールの“強さ“に賭けたという。 「三上の良さが、流れを変える投球をしてくれるところに賭けた。反省は追い込んでからのこと(配球)。使っているのは監督。良さを引き出してあげられなかったのは、こっちの責任」 この点差になると、もう“天敵”の青柳にプレッシャーをかけることができない。ボールがシュート回転するなど、決して状態のよくなかった青柳に対して、桑原、牧といった右打者が、本来の青柳対策の逆方向ではなく、引っ張りにかかって、1回裏に1点を返すなど、攻略の糸口はつかみかけていた。 桑原、倉本がセーフィバントを仕掛け、ゴロ処理の送球に難がある青柳に揺さぶりもかけた。全員でやるべきことをやったが、予期せぬ援護点が、青柳を楽にさせてしまった。三浦監督も「考えていたことができなかった」と悔やむ。 決して力負けしたわけではない。だが、配球ミスに失投が重なり、終わってみれば2-9の完敗である。 オースティンが手術で長期離脱、”新型コロナ・ショック”で、投手陣もガタガタになり、佐野もケガで登録抹消するなど戦力が整わずに苦しい状況だからこそ頭を使った“弱者の兵法”で乗り切らねばならない。