黒幕介入の阪神監督人事に暗黒時代再来危惧
ある球界の関係者から電話がかかってきた。 「誰も阪神の監督をやりたがらないんじゃないか。球団ナンバー2が何も知らされず、続投だと思って動いていたら、実は、本社が解任に動いていただなんて球団のガバナンスはどうなっているの? 本当にバックアップしてくれるの?と疑問を抱くよね」 金本監督の電撃辞任はファンにショックを与えたが、それ以上に波紋を広げたのは、その辞任に至る経緯の杜撰さだ。筆鋒鋭いスポーツニッポンの内田雅也記者が内幕にズバリ斬り込み公にした。真実は、辞任勧告による辞任だった。 退任を明らかにした坂井信也オーナーの後を受けて12月1日からオーナーに就任する阪神電鉄の藤原崇起会長、阪神電鉄の秦雅夫社長が協議の上、“金本監督では来季戦えない”と判断。球団の揚塩健治社長が本社の総意を伝える“メッセンジャー”として10日の甲子園最終戦となる横浜DeNA戦の試合後に金本監督に辞任勧告を行い、受け入れたとされている。 関係者の話を総合すると揚塩社長は先週あたりから頻繁に本社に呼び出された。このタイミングで藤原次期オーナーと秦社長は解任の最終決断をしたと考えられる。CS出場が絶望、ネット上での批判や観客動員の落ち込みが激しくなり、3年連続でV逸した巨人の高橋由伸監督が辞任表明した時期だ。それよりもっと前に本社は、解任を検討し始めていたようだが、揚塩社長は、最下位が決まった7、8日のヤクルト戦(神宮)の間に金本監督への“肩叩き”を始めて、10日の最終戦の試合後に最終意思確認を行ったという流れだろう。 だが、問題は、その藤原次期オーナーが主導した揚塩社長の動きを球団の谷本修本部長と嶌村聡副本部長らがまったく知らされていなかった点にある。彼らは、金本監督続投を前提にした新しい組閣に尽力していた。金本監督が電撃辞任することになった10日には、フェニックスリーグが行われている宮崎を2人で訪れて矢野2軍監督に1軍ヘッド昇格を説得、その他のコーチに関しても通達を済ませた。 「来季一緒に頑張りましょう」 夜には共にしゃぶしゃぶ鍋をつついていた。 だが、急転、それらの話が白紙に返った。 揚塩社長から電話連絡を受けた谷本本部長は、矢野2軍監督と2軍のコーチ全員に「昨日の話はすべて白紙になりました。申し訳ありません」と伝えて頭を下げたという。直属の上司に裏切られ、恥をかかされた2人の心中は察するに余りある。