脳科学者が発見した…仕事ができる人の「マルチタスク」が実は脳に与えている深刻な影響
「運」と聞くとどうしても何か超常的で私たち人間にはコントロールできないものと考えがちですが、オカルトやスピリチュアルではなく、自分次第で「運のいい人」になれると聞いたら驚くでしょうか。実は「運のいい人」は脳の使い方が他の人と違っています。大きく分類するとその使い方には「行動習慣」と「回復習慣」があり、その習慣自体は誰にでも実践可能なものなのです。 【写真】ゲッターズ飯田が感じた、「運がいい人」に共通している特徴 本書では、脳神経科学者の毛内拡氏の著書『脳科学が解き明かした 運のいい人がやっていること』から一部を抜粋し、運のいい人の習慣について解説していきます。
マルチタスクの誤解
マルチタスク、つまり何事も同時進行で片付けられるというスキルは、現代社会ではまるでスーパーヒーローのように讃えられがちですね。仕事ができる人、時間の使い方が上手な人といえば、このマルチタスクが得意な人のイメージが浮かぶかもしれません。さらに、しばしば「女性はマルチタスクが得意」といった話も耳にします。しかし、これらの話には少し誤解が含まれているかもしれません。 まず、マルチタスクが良いとされる理由ですが、それは「時間効率がいいから」という考え方が根底にあります。一見すると、複数のタスクを同時にこなすことで、時間を有効に使っているように思えるでしょう。 ですが、心理学や神経科学の研究からは、人間の脳は実は一度に一つのタスクにしか集中できないことが示されています。つまり、マルチタスクをしている時、私たちは実際にはタスク間で素早く切り替えているだけなのです。この「切り替え」自体には時間がかかり、それが積み重なると、逆に効率は下がることになります。 そして、この「女性はマルチタスクが得意」というステレオタイプですが、これには科学的な根拠があるわけではありません。性別による脳の構造的な差は確かに存在しますが、それが直接的にマルチタスクの能力に関連するわけではないのです。この種の誤解は、女性の方が右脳と左脳をつなぐ脳梁と呼ばれる部分が太いという不確定な事実に基づくものです。 さらに、性別の役割に関する古い見解や、社会的な期待に基づいていることもあります。女性が家庭と仕事を両立させる姿が「マルチタスクの達人」として見られがちですが、それは単に彼女たちがそのような環境に置かれているからそう見えるだけなのかもしれません。