「ギリギリのところで…」なでしこジャパン、ベスト8敗退の原因。選手の本音は「手応えしかなかった」【パリ五輪現地コラム】
なでしこジャパンは現地時間3日、パリ五輪(パリオリンピック)準々決勝でアメリカ合衆国女子代表と対戦し、延長戦の末に0-1で敗れた。前回大会と同じベスト8という結果に終わった今大会を、現地で残した選手たちの言葉から総括する。今回は前編。(取材・文:加藤健一【フランス】)
溢れ出す涙。叶わなかった「紗希さんに金メダルを」
銀メダルを獲得したロンドン五輪を超える金メダル獲得を目指して挑んだパリ五輪は、東京五輪と同じベスト8という結果に終わっている。3年前の東京五輪、そして昨年のFIFA女子ワールドカップはともにスウェーデン女子代表に準々決勝で敗れた。キャプテンの熊谷紗希はグループステージ突破を決めたナイジェリア女子代表戦後にこう話していた。 「やっぱりここ(準々決勝)がなでしこジャパンのここ最近の大きな壁になっている。ここを超えた先の景色をみんなに見せてあげたいし、見たいと思っている」 2011年のFIFA女子ワールドカップ優勝を唯一知り、翌年にロンドン五輪で銀メダルを獲得している熊谷は、後輩たちのためにも準々決勝を突破したいと考えていた。グループステージは3戦フル出場。33歳の身体には大きな負担がかかっていたが、「大丈夫以外の言葉は言えないようなんですけど」と笑いながら言っていた。 金メダルを獲りたいという気持ちは、後輩たちも一緒だ。これまで長くチームを引っ張ってきた熊谷の首に、なんとしてでも金メダルをかけたい。しかし、その夢は打ち砕かれてしまった。0-0で迎えた延長前半アディショナルタイム、トリニティ・ロッドマンが鋭い切り返しから左足を振り抜き、ゴール左上隅に強烈な一撃を突き刺した。 「このチームが大好きで、このチームで(熊谷)紗希さんに金メダルをあげたかった」 敗戦後、初の五輪出場となった20歳の浜野まいかはそう答えると、それまでこらえていた涙が溢れ出した。「紗希さんに金メダルを」を合言葉に戦ってきた若きなでしこたちは、あと1歩及ばなかった。 善戦はしていた。それでも勝てなかった。選手たちはパリの地でトップレベルとの差を肌で感じていた。