「ギリギリのところで…」なでしこジャパン、ベスト8敗退の原因。選手の本音は「手応えしかなかった」【パリ五輪現地コラム】
「だいぶ苦しかった。ギリギリのところで…」
「だいぶ苦しかった。精神的にというより、いろんな意味でいっぱいいっぱいだった。ギリギリのところでチーム全体が戦っていました」 熊谷が言うように、ギリギリのところで踏ん張っていたなでしこジャパンの堤防は、延長前半の終了間際に決壊した。トリニティ・ロッドマンが右サイドで切り返すと、北川ひかるがそれにつられてシュートコースが生まれる。迷いなくロッドマンは左足を振り抜くと、シュートはGK山下杏也加が伸ばした腕の先、ゴール左上隅に突き刺さった。 大会前から、いくつものアクシデントがなでしこジャパンを襲っていた。これらは、なでしこジャパンが敗退した理由の1つに他ならない。 7月上旬に始まった国内合宿で、谷川萌々子は別メニュー調整を続けていた。「キャンプに入る前に怪我をしてしまって、歩くのすらキツかったし、左足でボールを蹴ることすらできなかった」という。なんとか本大会には間に合ったが、フル稼働できるようなコンディションではなかった。2戦目に出場し、PK獲得と劇的な逆転ゴールで一躍ヒロインになったが、長い時間プレーできるコンディションではなかった。 さらに、7月13日のMS&ADカップ2024では北川ひかるが右膝の軟骨を損傷し、本大会初戦と第2戦は欠場していた。さらに、初戦で清水梨紗と藤野あおばが負傷。藤野は準々決勝で復帰することができたが、清水は初戦をもってチームを離脱している。さらに、初戦、第2戦と先発していた古賀塔子が第3戦を欠場し、準々決勝で先発に復帰していた。 アメリカ戦後、池田監督は苦悩の一端を明かしている。 (取材・文:加藤健一【フランス】) <後編に続く>
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