債券は大幅安、米雇用統計後の反動売り-10年金利0.8%台で買い慎重
(ブルームバーグ): 9日の債券相場は大幅下落。米国で雇用統計を受けて今月の大幅利下げに不透明感が強まり、円債先物の夜間取引に売りが出た流れを引き継いでいる。日本銀行の追加利上げ観測が根強い中、週内に5年債入札と20年債入札を控えて、長期債は利回り水準面から買いづらいとの見方も出ている。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、円債は先週末の米雇用統計前に買われ過ぎていたとし、「水準的に10年債利回りの0.8%台は買い進みにくい」と述べた。9月の米利下げ幅については「0.5%に拡大するほど特別な状況には見えず、株式市場の催促にも米金融当局は乗らないだろう」との見方を示した。
8月の米雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回った一方、失業率は予想通り小幅低下した。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は9月の利下げを示唆した上で、大幅利下げの可能性について「オープンマインド」とも述べた。6日の米10年国債利回りは一時3.64%程度と2023年6月以来の低水準を付けた後、低下幅を縮小した。
先物夜間取引は6日の日中取引終値比20銭安で終えた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、米雇用統計後の金利低下リスクをヘッジするために大きく買われていた反動が出たと分析。きょうは売り先行後は国内株にらみの展開だとし、「リスクオフの動きが強まると、日銀の利上げ織り込みの後退を通じた金利低下圧力が加わり得る」と予想した。
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Saburo Funabiki