江戸前とスパイスの美味なるタッグ! 話題の“変タイ寿司”が溝の口から虎ノ門へ
それもあって味に違和感はないが、ライスペーパーはもちもち、サバはしっとり、なますはシャキッとした多彩な食感が斬新で、ガリのような役目も。さらに大葉の爽やかなアクセントも秀逸で、こちらも驚かされるおいしさだ。そして続く「鮑」もやはり、普通のアワビではない。
身にオイスターソースを足して4時間ほど煮込み、その出汁に肝とレッドカレ―を加えソースとしてあしらう。赤唐辛子以外のスパイスはグリーンカレーとほぼ同じだが、配合が異なるのでまた違った味わいに。肉厚ながらやわらかい、贅沢なアワビを堪能したら、追い酢飯をオーダーしてカレーライスを楽しもう。
「こちらはタイのウニなんです。珍しいですよね」と笑顔で見せてくれたのが、この箱ウニ。側面には「すがの生うに」と書いてあり、特注なのかを聞くと「箱はそうなりますね。味は実にタイらしいおいしさです。でもそれ以上の種明かしは、ご来店いただいてからのお楽しみということで」とのこと。なお、素材の味をダイレクトに楽しんでほしいという思いから、軍艦ではなく握りで提供しているそうだ。
川井さん「まるでクイズのように、とにかくこの寿司にはどんな素材を使っているのか?工夫がされているか?それをお客さん全員で考えることが楽しい。食のエンターテインメント性を感じさせてくれる。」
どの品々にも新奇性と創意工夫が施され、おいしさと発見に笑みがこぼれる。“微笑みの国”として親しまれるタイ。そのお国柄まで表現する「鮨 すがひさ」、愛される理由がよくわかる。
握りに込められたオリジナリティーにも驚かされる
主役となる寿司にも当然のごとく驚きの仕掛けが随所に。なお、軸となる酢飯は江戸前の伝統にならった正統派。ササニシキの親世代に当たる、寿司米にも適した宮城県産のササシグレを使い、赤酢を混ぜた合わせ酢で仕上げる。
握りで紹介したい逸品は、川井さんも大絶賛の「トムヤム車くん」。ルックスは車海老であるが、食べてみれば想像していた味と全く違い、菅氏が表現したい全貌が明らかに。その名称にあるように、魅惑的なおいしさで満たされる。