江戸前とスパイスの美味なるタッグ! 話題の“変タイ寿司”が溝の口から虎ノ門へ
川井さん「車海老と酢飯の間にトムヤムのエキスを入れた一品が美味。これは毎回出てきてほしいスペシャリテ的存在。」
しばしば世界三大スープに数えられるトムヤムクンだが、タイ語でトムは煮る、ヤムは混ぜる、クンは海老を指す。このレシピに従い、同店では海老の頭を中心にスープを取って煮詰め、レモングラスやカピ(オキアミの発酵調味料)などを混ぜて濃縮。この特製エキスを車海老と酢飯の間に忍ばせることで、不思議ながらも納得できる“変タイ寿司”に昇華している。
そして最後に紹介するのが「グリーンカレー稲荷」。古巣「イムイェム」で愛されたドライグリーンカレーを、稲荷寿司へと再構築した名物の一つだ。酢飯一粒の間に秘められたカレー風味のひき肉が醸し出す、甘辛くて酸っぱい刺激が弾け、余韻にはスパイスやパクチーの爽快感が駆け抜ける。
川井さん「毎回土産に買って帰る稲荷寿司。もちろん、これもタイ風でグリーンカレーが使われていてなんともおいしい。今回虎ノ門ヒルズに移転してこれもバージョンアップし、具材にカリカリの豚の皮が使われていて、旨みと食感の良さが以前より増している。」
土産は1箱に8個入りで2,200円。また、ネット予約からは3種の稲荷が楽しめる「エスニック稲荷寿司詰め合わせ」を1,650円でテイクアウト販売している。こちらの味はグリーンカレー、ソムタム、ココナッツミルクとなり、火~金の11:00~15:00の受け取り限定だ。
スパイスを駆使する「鮨 すがひさ」では、酒のラインアップも相応の濃醇旨口な個性派ぞろい。例えば「モンスーン」シリーズを有する滋賀の笑四季(えみしき)や、福井の雄・黒龍の貴醸酒など。また、ワインも日本やニューワールドを中心にそろえ、同店ならではのペアリングを提案している。不思議で面白い、ユニークな食体験を求めるなら、ぜひ足を運んでみてほしい。
鮨 すがひさ
住所 : 東京都港区虎ノ門2-7 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 4F ※価格はすべて税込
文:中山秀明、食べログマガジン編集部 撮影:菊池陽一郎