「メジャー球団の懸念は年齢よりも、むしろ……」 35歳「菅野智之」メジャー挑戦 専門家が明かす“最大のリスク”とは
年齢よりケガが不安!?
1995年、近鉄からドジャースに移籍した野茂英雄氏は26歳、2003年に巨人からヤンキースに移籍した松井秀喜氏は28歳だった。やはり20代で移籍した日本人選手に比べると、高津と高橋の2氏や菅野は“オールドルーキー”という印象を持ってしまう。 ところがメジャー研究家の友成那智氏は「メジャーのスカウト担当やフロントは、菅野さんの年齢はそれほど気にしないと思います」と言う。 「例えばパドレスのダルビッシュ有さんは38歳です。黒田博樹さんは39歳でヤンキースのエースでした。メジャーの各球団が懸念するのは、むしろ菅野さんのケガだと思います。2021年から菅野さんは右肘の違和感を訴えることが増えました。以前の菅野さんなら基本的に、防御率は1点台から2点台でした。ところが21年から23年は3・19、3・12、3・36と3点台に悪化。特に23年は右肘の違和感で開幕に間に合わず、14試合に先発して4勝8敗と不本意な成績に終わりました。メジャーの各球団はケガの影響で、21年から23年のシーズンに似た成績になってしまうことを懸念しているはずです」 似た例としてはメッツの千賀滉大が挙げられる。2023年のシーズンは12勝7敗、防御率2・98と大活躍。ところが今季は開幕前の2月に右肩後部の張りが見つかり、レギュラーシーズンを棒に振ってしまった。
2020年の不運
「菅野さんの実力は折り紙付きなので、メジャーでも充分に通用します。獲得に意欲を示す球団は多いでしょう。ただし、ケガのリスクを考えると、長期契約をオファーする球団はないと思います。参考になる契約はFAになっていた前田健太さんがタイガースと結んだ2年総額2400万ドル(約35億4000万円)です。これと同程度の契約を提示され、菅野さんが受け入れるかどうかがポイントになるのではないでしょうか。もちろん代理人は出来高など条件闘争を仕掛け、少しでも菅野さんに有利な契約にしようとするはずです」(同・友成氏) 当時も話題となったが、菅野は一度、メジャー球団と交渉を行ったことがある。2020年12月、ポスティングシステムによるメジャー挑戦を申請し、受理された。年末には6球団と交渉を行っていることが報道で判明し、翌21年の正月に渡米した。 「ところがポスティングは不成立となり、菅野さんは巨人残留を決断しました。この時は非常に不運で、新型コロナウィルスの猛威で球団の財政が圧迫。充分な条件が提示されなかったこともあり、菅野さんは断念せざるを得なかったのです。また今オフのFA市場は実力派の先発投手が目白押しで、菅野さんには逆風となります。一方、ここ数年の日本人投手は安定して実力を発揮しており、高く評価されています。日本人投手は真面目で首脳陣の指示に従い、制球力や守備力が抜群です。菅野さんが日本人投手だということは相当な追い風となるでしょう」(同・友成氏)