「医療提供体制ひっ迫し始めている」 新規感染、75歳以上が「非常に多い」―東京都モニタリング会議の専門家ら
東京都は10日、1日としては過去最多となる602人の新規陽性者が確認されたと発表した。この発表前、都は直近1週間の新型コロナウイルスの「感染状況」や「医療提供体制」を専門家らが分析・評価する「モニタリング会議」を開いており、出席した医療専門家からは「(今週は)75歳以上の新規の陽性の方が非常に多かった」「医療提供体制がひっ迫し始めている」などと現状を報告した。
都では、感染状況・医療提供体制の深刻度を4段階で表す「警戒レベル」を独自に定めている。会議では両指数ともに先週と変わらず感染状況が最も深刻なレベル、医療提供体制は2番目に深刻なレベルとなった。 国立国際医療研究センター病院の大曲貴夫(のりお)国際感染症センター長は会議後、記者団の取材に対し、「今回は75歳以上の新規の陽性の方が非常に多かった。こうした高齢者の方々、ハイリスクの方々への感染の機会をあらゆる場面で減らしていく必要がある」とコメント。「深刻な医療提供体制の機能不全、これだけはなんとしても避けたいと思っている。そのためには感染拡大防止策が必要だ」とも語った。 東京都医師会の猪口正孝副会長は、「新型コロナウイルス感染症患者のための医療と通常医療の両立が困難な状況となっている。医療提供体制がひっ迫し始めており、新規陽性者と重症患者の増加を防ぐことがもっとも重要」と警鐘を鳴らした。医療提供体制の警戒レベルを最も深刻なレベルにしなかった理由については「まだ大きな破綻をきたしたという事象がないため」と説明。「この体制を維持してしっかり守っていきたい」と述べた。
ピークアウトはいつ?
大曲、猪口両氏は、飲食店に対する時短要請などの効果や、第3波がピークアウトしたのか、について質問を受けた。 猪口氏は「なかなか難しい。いまの状況はちょっと止まっているように見えるけれども、まだピークアウトしたのか、もうちょっと増えていってしまうのかは分からない」と回答。一方、Go Toキャンペーンの利用自粛要請については「利いているのか、効ききっていないのか。ちょっと分からない。判断しづらい」と語った。 一方、大曲氏は「まだ分からない。正直なところ。もちろん(ピークアウトしていることを)期待はしますが。こればかりは(経過を)見ないと分からない」とした。