パドレスの松田熱望の背景にアジア進出戦略
海外FA権を行使した松田宣浩内野手(32)の獲得を真剣に検討しているのが、サンディエゴ・パドレスだ。先日、フロリダで行われていたGM会議に出席したパドレスのA・J・プレラーGMは、「マツダの映像などは見ている」と、調査に乗り出していることを明らかにした。 チームのサードは、ヤンガービズ・ソラーノ(25)。今季は、打率.270で14本塁打、63打点の成績を残した スイッチヒッター。 控えは、ミドルブルックス(24)で、83試合に出場しているが、打率.212、9本塁打、29打点と頼りなくて三塁しか守れない。一方松田は、三塁だけでなく、二塁もできる器用な面を持っているため高く評価され、調査リストに名前が載った。 パドレスは、ジャイアンツからFAとなった青木宣親外野手(33)、ポスティング移籍が濃厚とされている広島の前田健太(27)にも興味を持っているが、松田、青木、前田ら日本人メジャーリーガーの獲得に腰をすえていることには理由がある。日本を基点としたアジアの市場開拓だ。 GM会議中、プレラーGMも「日本の市場に興味がある」とハッキリと口にしていた。 実は、パドレスの経営者にドジャースの一時代を築いたピーター・オマリー氏の一族が参入。そのオマリー氏の片腕として活躍、引退した山本昌の恩師としても知られる故・アイク生原氏の娘婿で、ドジャースではアジア担当を務めていたエーシー興梠氏も、現在、パドレスに移籍し、水面下で日本、台湾、韓国などアジアとのコネクションを広げようと活動している。 オマリー氏がドジャースのオーナーだった頃、野茂英雄のドジャース移籍を実現。日米のマーケットを開くことに大きく貢献し、日本を戦力としてのメジャーリーガー供給場所だけでなく、スポンサー獲得や放映権など、ビジネス面でも大きな魅力をもっている場所であることを身を持って体験した。 その後、ドジャースの経営権を手放したが、ドジャースはその路線を引き継ぎ、斉藤隆、石井一久、黒田博樹ら多くの日本人メジャーリーガーが活躍していた。マリナーズ、レッドソックス、ヤンキースなども、このドジャース方式で日本市場を開拓、イチロー、松坂大輔、松井秀喜の成功だけでなく、ビジネス的にも大きな成功につなげた。