「娘の体重が増えない」生後2ヶ月、両親が感じた不安 数ヶ月後…「娘は小学生になれないかも」 世界で”60症例”の難病と向き合う家族の思い
コロナ禍での入院 面会できない中ついに診断が
桜ちゃんが入院していたのはコロナ禍だったこともあり、まん延防止等重点措置の影響で一時面会できない期間がありました。 桜ちゃんと両親が会えないその期間中に2回目の遺伝子検査の結果が判明。桜ちゃんの病気が世界で60症例ほどの稀な病気【呼吸窮迫を伴う脊髄性筋萎縮症Ⅰ型(SMARD1)】であることがわかったのです。両親が最初の違和感を抱いて医師に質問した日から4ヶ月目のことでした。
小学生になれないかもしれない つらい現実と向き合う両親
桜ちゃんのように生後0ヶ月~生後6ヶ月に発症するⅠ型の場合、多くの子の症状として支えなしで座れない・首がすわらないといいます。 「自分の娘がおすわりができない、歩けない、普通に生活できないとわかり、気持ちはどん底だった」とお母さんは話します。お父さんもそのときの心境について「何かの間違いじゃないか、そんなわけないといった悲しみと怒りがわいてきた」と話してくれました。 自分の娘が何歳まで生きられるかわからない、小学生になれないかもしれないし成人を迎えることは叶わないかもしれないという現実に直面し、実際に桜ちゃんの病気を受け入れるのに1年という歳月がかかったといいます。 そんななか、zoomで面会するたびに看護師さんが写真で桜ちゃんの様子を伝えてくれ、頑張っている桜ちゃんの様子が日々の励みになったのだそうです。 その後まん延防止等重点措置が解除となり、お母さんは桜ちゃんの付き添い入院ができるようになりました。久しぶりに桜ちゃんに会ったとき、お母さんはただただ、桜ちゃんのことをかわいいと感じました。これから始まるお世話や医療的ケアのことはどうしたらいいのかわからないものの「娘がかわいい」という思いが、頑張ろうと前向きな気持ちになれました。
自宅に帰り家族3人での生活がスタート
桜ちゃんが退院し、家に帰ることができたのは生後9ヶ月の頃でした。 そのときお父さんは会社員として働いていましたが「桜と過ごせる時間に後悔はしたくない」と育休を申請。延長を申し出ながら1年3ヶ月フルに育休を使い、自宅で桜ちゃんと過ごす時間にあてたのだそうです。 その後も自宅で桜ちゃんのケアをしながら働けるスタイルを模索。お母さんは特例で今までの会社の社員として在宅勤務。お父さんは転職し在宅で仕事をしながら桜ちゃんの医療的ケアができる環境に整えました。 現在の桜ちゃんは、腕が動きにくくなってきたり、食事や水分の飲み込みが不自由になってきたりと病気の進行はあるものの、食べたい気持ちや、食の好みが育ち、その思いを桜ちゃんなりに表現できるようになってきたそうです。 「自宅に訪問看護の保育士さんに来てもらったり、デイに通ったりと、いろいろな人とふれることで感情が豊かになってきました。みんながかわいがってくれて、病気だけど人には恵まれていると感じます」とお母さん。 「にらめっこすると、口を動かすようになり些細な変化が今は嬉しいです。訪問看護の方が気づかないような小さな変化でも自分にはわかることがある」と側について看ることができる選択をしたからこその喜びをお父さんは語ってくれました。