海軍にあこがれ、「軍国少女」だった桂由美さん 敗戦の心の傷とブライダルへの道のり #戦争の記憶
戦争は絶対に避けてほしい
――今年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まり、世界は再び不穏な空気に包まれています。戦争を経験した桂さんは、今の状況をどう見ていますか? 「戦争をしなければいけない国には理由があるんでしょうけど、ファッションに関係する人間としては、戦争は絶対に避けてほしい。世の中には、つらいことも楽しいこともありますが、みんなが幸せになっていただきたいと思っています。2020年に開催した創作活動55周年記念コレクションのタイトルは『ブリリアントホワイトデビュー』でした。白は出発の色。黄色に染めたものはオレンジになるけれど、青や赤にはなりません。でも、白はどんな色にもなる。赤ちゃんが生まれたとき、白を着せます。そして第2の人生の始まりであるウェディングも、やはり白です。ウェディングは幸せの象徴、戦争とは真逆なんです」
--- 桂由美(かつら・ゆみ) ブライダルファッションデザイナー。1930年生まれ、東京都出身。共立女子大学卒業後、パリに留学してブライダルを学ぶ。64年12月、日本初のブライダル専門店をオープン。69年に全日本ブライダル協会を設立し、99年に東洋人として初めてイタリアファッション協会の正会員となった。2005年からはパリクチュールコレクションに参加し、日本の伝統美を世界に発信。2019年「令和元年度 文化庁長官表彰」を受賞。今年4月21日、契約縫製工場がある福井県若狭町に日本初のブライダルファッション・ミュージアム「BRIDAL LAND WAKASA」・「YUMI KATSURA MUSEUM」をオープン。現在もウェディングファッションの第一線で活躍中。