なぜ出雲駅伝で創部11年目の東京国際大が初出場初優勝の快挙を成し遂げたのか…校内放送で部員募集の過去も
第33回出雲全日本大学選抜駅伝競走が10日、島根県の出雲大社正面鳥居前をスタートする45.1kmコースで2年ぶりに開催され、創部11年目を迎える東京国際大が「初出場、初優勝」の快挙を成し遂げた。 1区山谷昌也(3年)がトップと5秒差の3位でスタートを切ると、2区佐藤榛紀(1年)は3位をキープ。2区の途中でV候補の大本命だった駒大・大八木弘明監督は「東京国際大さんと同じところにいるので厳しいですね」と顔を曇らせていた。 東京国際大は最終6区にイェゴン・ヴィンセント(3年)が入っており、優勝を狙う他のチームは5区終了時までに東京国際大を大きく引き離したいと考えていたからだ。 ヴィンセントの走力は圧倒的なものがある。箱根駅伝は1年時に3区で、2年時は2区で区間記録を樹立。日本人トップにそれぞれ1分58秒、1分25秒という大差をつけている。出雲の最終6区は10.2km。ヴィンセントは日本人トップの選手が相手でも40~60秒ほどのアドバンテージがあった。 東京国際大に勝つことを考えると、5区終了時までに大量リードが必要不可欠。前日会見でも大八木監督は「1分くらいあれば面白いかなと思います」と話している。 一方、東京国際大・大志田秀次監督は「田澤(廉)君が相手なら45秒以内。1分は逃げられる」と読んでいた。 ライバル校を見つめてのレースは3区で大きく動いた。東京国際大・丹所健(3年)が2キロ過ぎにトップを奪う。そして後続をぶっちぎったのだ。丹所は創価大のフィリップ・ムルワ(3年)に次ぐ区間2位。同3位の青学大・佐藤一世(2年)に32秒差をつける快走で29秒ものリードを稼いだ。 東京国際大は4区白井勇佑(1年)が区間5位、5区宗像聖(3年)が区間3位。安定感のあるレース運びで首位を独走する。6区のヴィンセントにタスキが渡ったときには、2位の東洋大に28秒もの貯金があった。 ヴィンセントは10.2kmを悠々と走り切り、東京国際大が大会史上初の初出場・初優勝に輝いた。 「日本人選手が課題だったので、いいかたちで流れを作ることができて、ヴィンセントに楽をさせることができました。正直、優勝は来年、再来年に目指せればいいかなと思っていたんです。でも、初出場での初優勝に意味がある。それが現実になるのは想像していませんでしたが、今日は出来すぎでしたね」(大志田監督) 快挙達成には1区山谷と3区丹所の走りがポイントになった。