アレック・ソスの写真がつむぐ、さまざまな部屋に息づく物語。東京都写真美術館にて展覧会が開催中!
東京を部屋の中に手繰り寄せる、ソスが来日中に撮影した写真とは?
2015年、『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』の「Voyages」と題した特集号の企画にて、新宿のパークハイアット東京に滞在したソス。同ホテルを舞台にした映画『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)に着想を得ると、インターネットで探した茶道家やアイドルグループなどのゲストを部屋に迎え、その様子を撮影していく。自らが街へ出て異国の文化を知るのではなく、いわば東京を部屋の中に手繰り寄せようとしたユニークな作品だ。また静謐な部屋と被写体から醸し出される親密さが魅力の〈I Know How Furiously Your Heart is Beating〉も、部屋をテーマとする本展が生まれるきっかけとなった重要なシリーズとして見逃せない。
無数の部屋が紡ぎ出す、ひとつとして同じものがない物語
2022年から今年にかけて、アメリカの美術学校を舞台にした最新作〈Advice for Young Artists〉を手がけるソス。中には《Still Life II》のように作家本人の姿が小さく写る作品も見られるが、ソスは「アーティストとして見られたいけど、見られたくない。歳を重ねたいま、学生のスタジオに入って若い頃の自分を追体験しながら、なぜ写真家になったのかを問い直したい」と語っている。ソスが30年に渡って写し続けてきた無数の部屋が紡ぎ出す、ひとつとして同じものがない物語を、展示室の中に作られた6つの部屋を歩きながら感じ取りたい。
『アレック・ソス 部屋についての部屋』
開催場所:東京都写真美術館 2階展示室 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内 開催期間:開催中~2025年1月19日(日)
文&写真:はろるど